第28話 メイド長が今夜、自らがお相手してくれるって!
「はーい、お姉さんが隅々まで洗いますからねー」
「ダルマシオさま、腰を上げていただけますか?」
「あっはい、こんな所までごめんなさい、これでいいかな」
遅い夕食後、
いや勉強が時間かかったからね!
……ごめんなさい一番の長引いた原因は、地下の成人向け書物庫です。
(新たな扉が開いた気がする)
そして今はドリーちゃん(サンドリーヌさん)とタマラさんに、
お風呂場で全身をよーく洗っていただいている所だう、うん、申し訳ない。
風呂場用の椅子からお尻をあげて、身体の表面をくまなく、本当に全ての場所を……
(あくまでもメイド業務だからね!)
これが相手がメイドお婆ちゃん達だったら『あっはい』で済むのだが、
いかんせん自称二十二歳(多分本当)と二十歳巨乳が相手だと、その……
いやいや、事務的に洗ってもらっているんだから、大丈夫、大丈夫だって!
(どこの何がとは、言わない!)
ざばぁーーー……
「ふう、ありがとう」
お湯を頭から被せてもらってすっきり、
湯船に入って落ち着こう、うん、良い湯だ。
「それでダルマシオちゃん、勉強は進みそう?」
「はいドリーちゃん、なかなか良い本がいっぱいで」
地上も地下も!!
「その、できれば」「はいタマラさん」
「私もご一緒に勉強を」「いや、あそこの本なら元から読み放題なんじゃ」
「いえ、ダルマシオさんと一緒に学べればなと」「あっうん、考えておく」
間違いなく、物凄く気が散りそうだ。
「じゃ、私達はもういいよね」
「……良くないって言ったらここで待ってるんですか」
「そうね、一緒に入れって言われれば脱いで入るわよ」
えええええ?!?!
「メイドって、そういうものなんですか?!」
「メイドって、そういうものなのかもね」
「メイドとは、そういうものもあるらしいです」
なんだ、みんなメイドに手探りなんじゃないか!!
(ということは、僕が命令すれば……いやいや、いけない!)
地下でのアダルトな小説コーナー、
どういう訳かメイドものが沢山あった、
ひい爺ちゃん、ひょっとして……そういう性癖?!
(そういえばメイドお婆ちゃん達が全員、ピンクのリボンを付けていたのって……!!)
ひい爺ちゃんに向けてなら、うん、納得がいく。
「とりあえず、ひとりで浸かっています……」
「とりあえず、ね、了解よ、何かあったらお姉ちゃんを呼んでね」
「では脱衣所でお待ちしております……」
出て行ったふたり、
そしてひとりっきり……だよね?
例の十六歳メイドが裸でやってきたら、さすがに逃げる。
(いやここ、僕のお屋敷でいいんだよね?)
ユピアーナ様のお屋敷だが、
その当のユピアーナ様がメイドとなり、
従える主人の館となった、という事はやはり僕の館。
(ユピアーナ様が心変わりしない限りは、ね)
だったらいっそ『領主の館』をここにしてしまいたくなる、
街の方の、僕が住んでいる家と取り換えたいくらい……
僕が領主を継いだら、いっそこのお屋敷と同じものをあっちに造るとか?!
(ユピアーナ様の貴重な金貨を、そんな事には使えないや)
そもそもこの領地自体、地味にめっちゃ設けているはずなのに、
いったいどれだけ父上に巻き上げられているんだろうっていう、
それを使えばこの規模の館くらいは……って僕が言える訳ないよね、うん。
(父上めっちゃ怖いし)
ちょっとお風呂で泳いで見る、
これでドリーちゃんあたりに怒られたら怖いな、
ずっと監視されているって事になるから……
(大丈夫だよね? ちょっと足をバタつかせてみよう)
……結局、何事も無くお風呂を堪能し、
脱衣所でお身体をキレイキレイに拭いて貰った。
風呂上がりのキンキンに冷えたミルクが、美味しい事、美味しいこと。
「じゃ、お疲れ様でした」
「うん、また明日ねダルマシオちゃん」
「お部屋でメイド長が待っておられるそうです」
どきどきどきどき!!
(今夜の夜伽も、アンヌさんアンナさんと同じなのだろうか……??)
そして寝室、
自分が寝る場所なのにノックしてみる。
「失礼します……」
緊張して入ると誰も居ない?
いや、ベッドの中に隠れるかのように入っている、
近づいてみると……うん、メイド長のカタリヌさんだ。
「お待ちしておりました、ベッドを温めておりました」
「あっ、ありがとう……って、もうそんなお姿なんだ」
真っ黒な下着姿である、パーツ多すぎ。
「ダルマシオ様、外した方がよろしいでしょうか」
「えっ、いや、とりあえずそのままで」
「わかりました、眼鏡を付けたままの方がよろしいのですね」
そっちかー!!
まあ、どっちでもいいというか、
どっちを選べと言われたら眼鏡付けたままで良いけど……
(高そうな眼鏡、壊れないといいけど)
いや、そこまで激しい動きは無いよね?!
「では、こちらへ」
「こ、こちらって!!」
「さあ、私の所へ、どうぞ」
……これで横に細くなって寝たら怒られそうだ、
観念して……うん、暖かい、そして、そそそどのっ、なんていうか……
(これが二十八歳かぁ)
なんだその感想は。
「苦しくは、ありませんか?」
「い、いやその、苦しいというよりは」
「はい、なんでしょうか」「……すごく、あたたかい、です」
いやこの部屋、暖房魔石は効いているけど!!
「そうですか、それでダルマシオ様」
「はっ、はいいいぃぃぃ……」
「新しいメイドとの生活は、上手く行けそうですか?」
そうは言っても、昨日の今日だしなぁ。
「ま、まあ多分、そこそこは」
「明日の夜はサエラス、明後日はサンドリーヌですよ」
「じゃ、じゃあその次は」「タマラですが何か」「ひいっ」
何て声を出しちゃったんだよ僕。
「大丈夫、メイドに全てお任せ下さい」
「そ、そうですか」
「最も、私も皆も、初めてですが……」
いやいやいや、
そんなそんなそんな。
逆に良いのか、僕が初めてで。
「カタリヌさんは、良いんですか?」
「はい、幼い頃から、ユピアーナ様の御主人様になられる方に、
メイドとして一生涯、この身体で尽くすと決められていましたから」
そんなの背負わされていたんだ!
「それで、これからする事って……本当に、良いんですか?」
「はい、むしろ楽しみにしていました」
「こんな僕なのに」「それはこれからふたりで、愛し合って決めましょう」
うーーーん、と考え込んでいると、
ほっぺたをむにゅっとつねられた。
「いででででで」
「……私だって覚悟あっての事ですわ」「そ、そうなんですか」
「ですからダルマシオ様も、覚悟を持って、どうか、受けて入れて下さい」
メイド長だもんな、
それだけで重さが違う。
とても真剣な表情……ののち、微笑んだ。
「初めてお会いした日のこと、憶えていらっしゃいますか?」
「ええっとぉ……今から七年前か八年前くらい?」
「はい、その時から、最初にお会いした時から、もう心に決めておりました」
その頃はカタリヌさん二十歳か二十一歳、
確か『眼鏡の美人なお姉さんメイド』っていうイメージで、
ぽーーーっと見惚れていた記憶があるな。
(まさかカタリヌさんも、僕を……ってその時の相手は七歳か八歳だぞ?!)
まあ、メイドと主人の関係だからね。
「わかりました、これから、よろしくお願いします」
「ええ、私は非戦闘メイドですから、ずっと一緒ですよ」
「そうですね、メイドがカタリヌさんだけにならないように、頑張ります」
あと、婚約者メイドのワンディちゃんも非戦闘メイドにしよう。
(っていけない、他の女性の事を考えていた)
そういうのすぐバレるって、
ひい爺ちゃん秘蔵のメイド小説に書いてあった!
微笑んで誤魔化そう。
「ふふ、それではダルマシオ様」
「はいいいぃぃぃぃぃ……」
「身体を楽にして、力を抜いて……」「ふぁあぁいぃぃいぃぃぃ……」
僕はその夜……あらゆる意味で、夢心地の体験をしたのであった。
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