第17話 レベルアップしてみよう②
この辺でいいかな。洞窟から離れすぎず、外が見えて景色よし。危ない時は隠れられる岩が数カ所。
「連れてきたゾー!」
大きくなってずるりずるりと体を引き摺るグミがお使いから戻ってきた。本当は自分で探しに行くつもりだったけれど危ないからという理由でグミが回収に行ってくれた。回収したのは、小さな黒くなった神獣。小さいサイズなら上手く捕まえられないかなと思って集められないかと提案した。
たぶんだけど温泉のレベルアップは怪我を治したり、黒くなる病を治したりでするんじゃないかなと思ったの。キャンプはまだレベルアップしてないからヒントがないけれど、温泉はレベルアップした時の状況がわかってるからね。
「わー、いっぱい集めてきたね!!」
「たぶんもっトいるゾ」
「もっと!? ならレベルアップいっぱいできるかもだね」
少し不謹慎ではあるが、わくわくしながら温泉を呼び出す準備をする。
「僕だって出来るのに……」
「オマエがやってたら日が暮れるだロ! 足の遅さを考えロ」
なんて二人のケンカが始まりそうだったので急いで温泉を出さないと!
「ライはグミが連れてきた子たちが暴れたら押さえてね。お願い!」
「わかった!」
さぁ、温泉を呼び出すわよ。今回はスーパー銭湯「湯〜屋」の露天風呂部分!!
外に出るドアがあったからきっと露天風呂も呼び出せるはず。
「温泉召喚!」
見慣れた岩ブロックと小さな屋根がつく露天風呂。そうそう、コレよこれ!
大きな露天風呂が人気だったのよね。
今回もちゃんと現れてくれた一枚のタオル君で前を隠しながら歩み出す。
ぴたりぴたりと足に吸い付くような石の感触を確かめつつ風呂の中に入る。タオルは頭に乗せてっと。
「いいよー! 連れてきてー!」
「はいヨ」
「僕も手伝う!」
ライとグミが黒くなった小さな神獣?達を次々に風呂の中に入れていく。
ちょっと暴れる子はグミが上手くあしらってくれて、ライが私と一緒に様子を見ながら引き上げてくれて――。
次々に元の色らしい姿になっていく獣達。中には小さな羽のある動物なんかもいた。見覚えのある動物から不思議な動物までたくさん。十匹以上もこのあたりに(小さいけれど)黒い神獣がいたのねとちょっと冷たい汗が出る。
「どう? 黒い子、もとに戻ってるかな?」
「戻ってると思うゾ。さっきまで噛みつこうトしてたのがのほほんトお湯ニ使ってル」
「やっと帰れるってみんな喜んでる」
「そうなの? 二人みたいに喋ってないからわからないのだけど」
「ボク達は高位の神獣だっテ前に言ったゾ」
「高位じゃないと話せないんだ」
「うーん、そうかも。あ、それで僕達は神獣同士だからわかるんだけどね」
「そっか」
丸い毛のボールみたいな小さい生き物が私のところまできてくれた。尻尾は平たくて、何かで見た動物みたいだけど思い出せない。
「ありがとうト言ってル」
ボール君を手ですくい上げ、目を合わせる。
「どういたしまして」
真っ黒だった子が白い毛になった。汚れを落としたみたいにみんなきれい。
さて、本題。レベルアップはどう!?
お空に向かって問うてみる。前回は上から声がしたから、上に誰かいるんだよね? あの声って神様的な存在なのかな?
『レベルアップしました』
よーし! 正解だった!?
同じ声が今回も聞こえてきた。
『呼び出せる温泉が一つ増えました』
やったー! 増えた!!
『イメージによる創造性が向上しました』
ん? イメージによる創造性の向上って何それ?
『…………』
例によって謎の声さんは教えてくれない。
ねえ、いったい何が向上したのよう!?
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