第15話 夜が明けて
外が明るい。夜が明けたみたい。体感では日本の夜の長さと同じ時間だと思う。徹夜なんて久しぶりだ。でも、安全が確保されてないから寝るなんて出来ないし……。
「ユーカ、大丈夫?」
「ん、ヘーキヘーキ。大丈夫だよ」
「フラフラしてるゾ」
「大丈夫だって」
桃香が迎えにくるかもしれない。だからここから移動するかどうしようか悩んでたけれど、ますます動けなくなった。
「ボク達デ外くらい見とくから休メ」
「大丈夫だってー。それより……」
左手の薬指を見る。指輪がきらりと光って存在を感じさせる。
「この指輪返さなきゃダメよね――」
ソラから指輪を借りたままだった。返さないとマズイよね? 大事そうに小箱にしまわれてるぐらいだもの。
それと、ソラの外套だろうか。大きな上着も残されていた。
必ず戻るとソラは言った。なら、ここで待ってないと困るよね。約束したし――。
ただ、何もせず待つのは時間が勿体ない。何かここで待ちながらできる事は……。
「レベルアップ……」
足湯が出せるようになったけど、ソラの神獣クーが浸かるには小さすぎて使えない。レベルアップで出せるようになったもう一つの温泉は足湯になってしまったから他の温泉を呼び出す事もできないみたい。
なら、やることは決まった。レベルアップで呼び出せる温泉を増やして、今度こそ服を着たまま入れる大きな温泉を!!
と、いっても私が知ってるor行ったことがある温泉でそんな場所はなかった。こんな時、スマホで調べられないのが悔しい。
あとは、桃香が迎えに来るまで時間がかかりそうなら本格的な拠点作りが必要よね。
キャンプのレベルアップでテントとか出ないのかな。
「ユウカ、レベルアップするのカ?」
「ユーカ、レベルアップするの?」
ライとグミが同時に聞いてくる。
「うん、そうだね。レベルアップしよう!」
「どうやっテ?」
「どうやって?」
二人は首を傾けて聞いてくる。
「…………どうやってだろう」
どうやらまずそこから考えないといけないみたいだった。
「二人は知らないの?」
神獣の事色々知ってる二人だし、何か知らないのかと聞き返す。
二人はコショコショと話し合いを始めた。そして、なぜかライが涙目になり、グミが勝ち誇ったようにふんぞり返って口を開く。
「まズはごはんだ!! 食べたらレベルアップするかもしれないゾ」
「え、あー、そうだね。そういえばまだ食べてなかったね」
お腹が微妙に鳴っていた。もしかして、グミはそれに気がついて言ってくれたのかな。
「同じ味になっちゃうけど、ちょっと待っててね」
リュックサックを呼び出して、チョコクッキーを食べる。【キャンプ】はどうやったらレベルアップするのかな。クラクラする頭の中で考えるけどなかなかまとまらない。やっぱり少しは眠らないとなのかな……。
お腹が満たされたせいか、眠気が襲ってくる。眠っちゃダメなのに、まぶたが重くて――。
「――少し眠レ」
真っ暗になる。そんな中で、ぶっきらぼうなのに優しい声が聞こえた気がした。
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