第6話 アラフィフ女性、腰痛の相談
腰の痛い高齢者は多い。
ほぼ100%の患者が腰に湿布を貼っている。
「腰痛ごときで医療機関に来る必要ないだろ」
そう思っていたオレも自らが腰痛に悩まされるようになって考えが変わった。
朝起きたときに腰が痛い。
車から降りるときにも腰が痛い。
ちょっと小走りしたら腰が痛い。
なにしろ常時痛い。
なるほどこれなら湿布も鎮痛薬も必要だ、オレは使っていないけど。
しかし、自分で自分の身体を客観的に観察してみる。
こいつは骨や関節の痛みじゃなくて筋肉の痛みじゃないか?
それなら何とかできそう。
で、ある日やってきたアラフィフの女性通院患者。
彼女は色々な病気があって通院しているが、1番困っているのは腰痛なんだとか。
2年近く通院していて初めて耳にした。
朝起きたときから腰が痛い。
立って仕事していたらますます痛い。
人生の大部分の時間を腰痛に支配されて生きている。
整形外科では「椎間板ヘルニアも脊柱管狭窄症もない」と言われたそうだ。
なんだ、腰痛を先に言ってくれよ。
血液検査の些細な異常値に拘っている場合じゃないだろ。
というわけで、オレは腰の痛む部分を確認した。
ひどい時には「大」の後に拭く事ができないのだとか。
また腰が痛むので前屈が難しく、足を拡げて顔を洗っているのだそうだ。
つまり腰の回旋も前屈も、どちらも腰痛を誘発している。
この情報で「ナントカ筋が原因だ!」と言えればいいが、生憎そんな知識をオレは持ち合わせていない。
そこで、患者の痛む部分のカチコチになっている筋肉をもみほぐしてみた。
すると効果抜群!
痛みが改善してしまった。
「こりゃあ、自宅で御主人に揉んでもらったら?」
ということで一件落着……かな?
後はオレがやって効果のあったスクワットがこの患者にも効くかどうか。
そいつが問題だ。
それにしても腰痛から解放されたら、この患者の人生も随分変わるんじゃないかな。
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