第4話 入院患者の発熱

 最近はあらゆる学会で感染症講習会が行われている。

 日本脳神経外科学会第83回学術総会しかりだ。


 ここの感染症講習会で、演者はこんな事を言っていた。


 入院患者の発熱において考えるべき5大細菌感染症は?


・肺炎

・尿路感染症

・カテーテル感染症

・創部感染症

・CD腸炎(クロストリジウム・ディフィシル腸炎)


 当然、これらの発熱に対しては抗菌薬を使う必要がある。

 脳外科では術後の髄膜炎もあるが、創部感染症に含めてもいいかもしれない。

 また、これら5大細菌感染症に次いで多い印象があるのは胆道系感染症だ。

 腹痛+発熱の場合には最初に考えるべきかもしれない。



 上記の5大細菌感染症の他に抗菌薬を必要としない発熱も紹介されていた。


・悪性腫瘍:肝細胞癌、悪性リンパ腫、腎癌

・慢性肝炎

・脱水

・無気肺

・胸水、腹水

・深部静脈血栓症

・乾燥壊死

・非感染性下痢症

・急性心筋梗塞

・肺塞栓

・消化管出血

・薬剤

・輸血反応

・大きな脳内出血


 ずいぶん沢山ある。


 この他に膠原病や偽痛風なんかも抗菌薬を必要としない発熱だと思われる。


 また、ウイルス感染症や真菌感染症も通常の抗菌薬は効かない。



 そして、抗菌薬を必要としない、つまり非細菌感染症の発熱の特徴は以下の通りとのこと。


・血圧、脈拍、呼吸数が正常で、体温だけが高い

・患者は比較的元気

・患者が汗をかいていない

・細菌感染症で40度以上は滅多にないが36度未満の低体温はあり得る


以上の傾向があるのだそうだ。


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