第41話 揺れるレニの心
一晩ぐっすり眠ったら、ミクちゃんのお熱は、ようやく微熱まで下がって来た。
「レニくん、倒れてしまって、ごめんなさい……」
「許さない。ミクちゃん、死んじゃうのかと思って、俺も死ぬかと思った」
しょんぼり落ち込むミクちゃんに、俺はさじとかいうスプーンでリゾットを口許に運んであげる。
「あーん」
「え、は、恥ずかしい、です」
「なに? 怒らせたいの? そんなに俺を置いて墓の下に逃げたいんだ?」
「た、食べます! あーん」
言うことを素直に聞くミクちゃんはほんのりとりんごジャムみたいな顔色で美味しそう。
「これね、卵をかき混ぜたリゾットだって」
「ん、味、わからないです……」
「あ~、ん、もぐもぐ……」
「レニくん! 風邪うつっちゃいます!」
「風邪じゃなくて疲労でしょ。卵と塩味。美味しいよ。はい、あーん」
「あ、あーん……」
「なんでさっきより顔赤いの?」
無口になったミクちゃん。じっとスプーンを見たり、俺の口許を見たり、よくわからない。
でも、食べないと怒るよって言ったら、ちゃんと全部食べたから良い子。
そのあと、また喋り方がおかしな女の子が桶とタオルを持ってきて、汗を拭くと熱が下がるというから、俺が全部拭くといった。
「だだだダメです! よろしくないです! そちらの女の子でお願いします! でないと熱が上がります!」
「んー? べっぴん勇者様は彼氏さんじゃなかったぺよ?」
「彼氏だよ。俺の彼女恥ずかしがり屋で今喧嘩中なだけだから、仲直りの機会ちょうだい♪」
「ええええ!? よくそんな流れるように嘘をつきますね!?」
「これを機会に仲良くすっぺよ♪」
「騙されちゃ嫌ですぅううう!!!!」
ぱたんと襖が閉まって、熱で身動きが取れないミクちゃんの伸ばされた手は誰にも届かずに枕の上に落ちた。
「はい、ゴロンとして。これ、浴衣ってやつ、前からじゃないと脱がせないから」
「レニくん、私、一応、病人ですよ? わかりますか? 私は今、ばい菌です」
「全身舐めて殺菌してほしいの?」
「お、お腹を壊すので、一切舌で触れてはいけません……!」
口では抵抗して見せても、ミクちゃん、全く力が入らないみたいで、転がしたらすぐに仰向けになった。
汗ばんだ体がチェリーパイみたいでマジ美味しそう。帯を引っ張ったらすぐに開けたし、純白の下着はホイップクリームみたい。
まずは首筋から綺麗に拭いてあげる。シャワーの温度だから気持ちいいのかな、ミクちゃんの首筋や鎖骨をなぞっていく度に「ん、ふぁ……」って、絶妙にエロい声が漏れて聞こえる。
「ねぇミクちゃん、声、抑えてくれないと、次は乳首噛んじゃいそう」
「もう舌抜きたい! 恥ずかしさで死ねばいいのに!! 私のバカバカバカ!!!」
喘ぎ声って自然に出るものでしょ。そうか、こういう指摘でもミクちゃんは自分の責任だと思い込むのか。
恥ずかしがらせて楽しみたいけど、ミクちゃんを育てるの時間かかりそうだね。
まぁ時間はいっぱいあるから別にいいけど。
「下着、取るよ」
「待ってください! 下着はご容赦ください!」
「え、もう外しちゃったよ」
既にペローンってブラは用を果たさなくなっていた。
「手慣れ過ぎです!!」
今となっては黒歴史。後悔先に立たず。てか今でもたまに夜夢で思い出して跳び起きて、罪悪感で死にたくなって、ミクちゃんに指摘されたくない部分ワースト1位。
だから早めに話題を逸らす。
「わぁ、ミクちゃんのふわふわで控えめなおっぱいの間にいっぱい汗が溜まってる。綺麗に拭ってあげるね」
「ん~ん~ん~!!」
「どうして必死で口を押えているの?」
ミクちゃんは両手で口を押えたままぶんぶんぶんぶん激しく首を横に振っている。
たぶん、喘ぎ声を誤魔化すために、あえて違う声を出しているんだろうけど、なんかそこまでされると本物の声で鳴かせてみたくなる。
一度、桶でタオルを洗って絞って、綺麗になったタオルを持ってくると丁度良くがら空きの脇をこすった。
「やあんっ……!」
「ダメだよ、脇も拭かないと」
「や、や、ちょ、恥ずかしいです……!」
今度は脇を守るために手を口から離している。
ミクちゃんは隙だらけだなぁ。
誰にも奪われたことのない赤いつぼみが無防備に揺れていたって、今後も奪われないと思ってるの?
ねぇ、そんなわけないよね。俺の聖剣が突き刺さった舌は、ミクちゃんの赤いつぼみを下から掬い取ってチュッてリップ音を鳴らしながら唇で挟み込んで舌でころころと転がした。
「ひあっ……!」
もちろん、もう片方のつぼみも、指先でつまんで軽く転がしている。
「あっ、っや、だめっ、レニ、くんっ……!」
密やかで甘い時間。どう考えても、この行為は一線を超えている。
だけどさ、ミクちゃん。好きとか、愛してるとか、彼氏、彼女、将来のこと、結婚がどうのこうの、二人の幸せ。
もう、そんな境界線、とっくに超えてるよ。
たっぷりとミクちゃんを味わってから顔を上げた。ミクちゃんは初めて、女の顔をしてた。
「俺が男だって忘れてた?」
「な、なんで、だって、私じゃなくても……」
これは、もしかして勘違いさせているのかな。なんかミクちゃん、傷付いた顔している。
私じゃなくても? 他に寝る女はいっぱいいるでしょう? ていう言葉が続くんなら俺でもさすがに怒るけど、違うかな。それともまだ遊び人だと思われてるの?
じゃなくて、ミクちゃん夢を語りがちだし、やっぱりよく話に出てくる私じゃなくても、とても素敵な人がいるのに、ていう、そいつ誰だよって話かな。
「俺、頭悪いからさ、今、ミクちゃんが傷付いている理由がわからない。理由がわからなくてすげぇイライラしてる」
「あの、レニくん」
「これじゃダメだと思うから、ミクちゃんを幸せにする方法、自分で考えてくる」
風邪引かないように布団をかぶせて部屋から出た。
途中でお団子頭に仲直りできなかったぁっていって体拭くの代わってもらって、悩むのに向いてそうな漬物置き場の蔵の中に身をひそめた。
そして自分が漬物になりそうなほどじっくりと考えに浸かって悩みぬいた。
頭に蘇るのはミクちゃんが唱えていた鎮魂の祈りだった。
あれってようするに美しい魂を持って人は生まれて、段々穢れていく魂も水が罪を洗い清めて、いつか魂は星になって、でも星は流れて、やがては大地に帰ってきて花となって咲き誇り、その魂はまた
これこれ、俺もミクちゃんとこうなりたい。永遠に繋がって回って還るような関係になりたい。
んで、大事なのは肉体的繋がりも当然持ちたいってこと。
なんでってミクちゃんなら聞くかもしれないけど、俺なら逆になんでって感じだよ。
ミクちゃんの全部が欲しいの当たり前でしょ。
でも、なんでミクちゃんは幸せになろうとすると全部言葉にしようとするんだろう。
修道院ってヤバいとこなのかな。ミクちゃんヤバい洗脳されたのかな。
俺は肌で触れ合いたい。温度で感情を確かめ合いたい。ミクちゃんと感じ合いたい。
ああ、言葉知らな過ぎてマジで伝え方がわからねぇ。どうすればミクちゃんは手に入るの?
☆☆☆
さすがにバンされるかしら~と思ってあえて背後注意と書かなかった←確信犯
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