第33話 成長しました
アリアたちを仲間に加えて数週間が経過していた。
次のイベントに向けしっかりと戦闘訓練なんかもこなしながら皆着実にその力を増していっている。
私も覚えた賢者の魔法、試しています。
……どちらかというと広範囲魔法が多いんだよね。
なので結構大人数パーティーで森に入り、さらなる環境破壊と魔物の大量虐殺を行ってしまっています。はは。
そのうちの一つの広範囲殲滅魔法。
「メテオフォール」
うん。
えぐすぎです。
発動した後の絵面……
まるでこの世の終わりかと、結構ガチに思っちゃった。
だって……
10メートルはありそうな岩石が超高熱を纏い赤黒く染め空全体を埋め尽くし落下してくるのよね。
私焦ってやっぱり賢者の集団結界魔法、5回くらい重ね掛けしちゃったもん。
怖過ぎでしょ。
深さが見えないようなクレーターが……
見なかったことにしよう。
同行した珍しいジョブ『回収士』を持つデイルードがあまりの量の魔物素材に目を回していたっけ。
あと急激なレベルアップで魂に隠されていた上位ジョブ『抜け忍』っていうのにミルライナが目覚めたのは僥倖。
これで私の目的の一つのピースが揃った。
ああ、そうそう。
アリアも僧侶ジョブ25レベルまで育ったよ。
個人のレベルも33。
この世界の常識だと在りえない速さだけど……
うん。
まあそこはチートの私と一緒に大量の経験値を得たという事で。
きっとレストール、びっくりする事だろう。
私とアリア、顔見あわせてちょっとニヤリとしちゃったしね。
今では仲間の回復を担当してもらっています。
アリア可愛いのよね。
特にカイマルクなんてしょっちゅう顔を赤らめながら手当てしてもらっていて。
アリアもまんざらでもない感じ。
……シナリオおかしくなっちゃうかな?
まあ、救えるなら私は問題ないと思っている。
実はレストールも、アリア以外からもメチャクチャモテるしね。
そんなこんなで私もこの世界にきて5か月。
そろそろしっかりとした計画を立てる必要があると思い、今日は全員をサロンに集め作戦会議を開くことに。
※※※※※
「皆さん、忙しい中集まってくれてありがとう」
私は大好きな仲間29名全員を見渡し頭を下げる。
皆は優しい笑顔で私を見てくれていた。
「大体の事は私のスキル『同期』で分かっているとは思う。でも私は自分の言葉でみんなに伝えたい。話すの慣れてないから分かりにくいかもだけど……聞いてくれますか?」
全員が頷く。
私は自分の心が温かくなっていく事を感じていた。
「ありがとう。じゃあまず、私が誰なのか話しますね。私は―――」
改めて私は異世界人で、いくつかの称号を持ち使命を授かっていることを伝えた。
そしてこの世界の抱えている問題、これから起こるであろう悲劇。
絶対に阻止し、長い平和を目指すことも。
「―――という訳です。ごめんなさい、長々と。……休憩しましょ?アリア」
「うん。……みなさん、私とファルマナさん、それからリアとルルーナ、もちろんミネアとリンネ様、そして美緒の女性陣全員で作った愛情たっぷりのアップルパイ、沢山あるので食べてね♡」
サロンにどよめきが走る。
うあ、何人かは泣いている?!
「あー、一応手伝ったけど……基本はアリアとファルマナさんだから……味は保証します。えっと……」
私はあざとくも、アリアおすすめの顔を作りにっこりとほほ笑み新たに取得した称号のスキルを乗せ禁断の言葉を口にした。
「愛情いっぱい詰めたの♡わたしの(作った)美味しいの……た・べ・て♡」
「「「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」」
「うおおおおおおおおおおおおっっ!!」
「み、美緒さまああああああああ」
「食べます、絶対に食べますうううう」
「大好きですううううう」
「この野郎、どさくさにまぎれやがって!!」
「可愛いいいいい!!!」
「うわああああああああ」
カオスだ。
何故かリンネはジト目だし。
うん。ごめん。
ちょっとだけど分かっててやりました。
てへ♡
※※※※※
実は私、理由は分からないけど今トリプルホルダーなんだよね。
『ゲームマスター』
『バイステンダー』
『超絶美少女』
うん。
言いたいことは山ほどあるよ?
どう見てもリンネの方が可愛いし?
はあ……
何はともあれ今の私、とんでもないステータスになっています。
称号の特典と付与がえげつないのよね。
あと今の私のサブ職業だけど……『聖魔賢者』とか言う初めて見る物になっています。
意味が分かんない。
取り敢えずこんな感じです。
「ステータス」
※※※※※
名前:守山美緒
種族:聖人
性別:女性
年齢:18歳
職業:軍師(117/99)聖魔賢者(19/99)
固有スキル:統括・指揮・任命・同期
保持スキル
鑑定・隔絶解呪・超元インベントリ
精神耐性(極)
神聖魔法22/99
暗黒魔法21/99
基礎魔法378/99
上位魔法73/99
錬成術31/99
レベル:228/99
物理:352 (称号加算+600)
俊敏:507 (称号加算+600)
魔力:20221 (称号加算+600)
法力:18442 (称号加算+600)
器用:772 (称号加算+600)
知能:8463 (称号加算+600)
幸運:11836 (称号加算+600)
保有ポイント:172443
称号
『ゲームマスター』
『バイステンダー』
『超絶美少女』
状態
正常
魅了発動(パッシブ・弱)※本人の希望で停止中
【情報】
ゲームマスター特典によりレベルアップ時のステータスポイント取得率UP。
ダブルホルダーにより成長速度倍加。
トリプルホルダー特典により各レベル上限撤廃。
※※※※※
はい。
壊れております。
いつの間にか人間やめちゃってるし。
だけど……
確か狂った皇帝、ハインバッハはステータス3万オーバーだったはず。
できれば戦わなくてすむ方法を予定しているけどね。
そして私は『倒す』というよりも目指しているのは『お仕置き』だ。
つまり殺さず無力化する。
それには圧倒的な力がいる。
そもそも今の私は完全に魔力特化だ。
今のジョブが終わったら今度は体力系を極める予定。
だからまだまだ全然足りていない。
そもそも悪魔はゲームに出てきていない。
きっともっととんでもないはずだ。
「ボーナスポイント……ううん、まだだ。目いっぱい鍛えてから使う方が効果的だもんね」
独り言ち、美味しいアップルパイを食べながら、私は笑顔の皆を眺めていた。
※※※※※
美緒はやばい。
さっき美緒が私だけに『同期スキル』で見せてくれたステータス。
もう彼女はめちゃくちゃだ。
きっと今世界で一番なんじゃないかな。
伝説級の魔法をノータイムで連発するし。
魔力のステータス2万越えって……
この世界の強者だってせいぜい5000くらいのはずなのに…
「ねえ美緒?錬成も使えるの?」
「ん?あー、どうかな。試してないや。まだ」
「なになに?美緒、錬成できるの?!凄いじゃん。ねえねえ、じゃあさ、すっごい
リンネと話していたら目を輝かせてアルディが乱入してきた。
「魔刻石?魔石じゃなくて?」
「うん。うわー、たぎる。出来たらさ、みんなもスッゴク強化できるよ」
錬成、か。
確かにみんなの強化は必須よね。
次の予定はリンネの弟、ガナロの攻略……
先に強化かもしれない。
私が思案していると、ドルンがいつものように遠慮がちに話しかけてきた。
「あの、美緒さま?今『魔刻石』と聞こえましたが…」
この人は魔法使いだけどすごく研究熱心な人だ。
最近私の賢者の魔法にも興味津々で、今では結構おしゃべりする仲なのよね。
当然喰いつくか。
何気にイケメンで大人の色気がやばいんだけど…
「うん。まだ試してないけど……作れるのかな?……っ!?ええっ?!!」
突然滝のような涙を流すドルン。
ど、ど、どうしたの?!
「おお、神よ……美緒さまはまさに女神……この出会いに感謝を」
うわー。
何故かキラキラエフェクト全開?
色気もダダ洩れ!??
はは、は。
「美緒さま、不詳このドルン、全身全霊をかけお手伝いさせていただきたい」
「ひうっ、は、はい。その節は、よろしく?」
目がイッチャッテル?
「親方!退団させてくれ」
「はあ?」
「俺は今から美緒さまと真理の深淵を目指す。盗賊なんぞしている暇はないっ!」
は?
退団?!
ザッカートは大きくため息をつく。
「ったく。退団は却下だ。お前に命令する。カシラは忙しいんだ。錬成?だけに時間をさけねえ。お前が責任もって補助しろ」
「……親方……感謝する」
うわー、なんか知らないうちに話が進んでいる?
……まあいっか。
試す必要はあるもんね。
「コホン。ドルン?協力お願いしてもいいですか?」
「はっ。命を捧げます」
重いよっ!?
何はともあれ、確実に成長を続ける美緒なのであった。
※※※※※
休憩後、私は諜報部隊を作ることにした。
私とリンネの知っているシナリオ。
すでに大幅に動いてしまっている。
まずは情報の取得。
残りのメインキャラクターたちの情報を集める。
そのあとは皆の強化が最重要課題だ。
「諜報部隊を任命します。部隊長ドレイク」
「おう」
「副隊長モナーク」
「へい」
「ロッジノとイニギア、それとミルライナ。……あなた達の力、貸してください」
「「おう」」
「っ!?この命にかけて」
私は5人に微笑みかける。
みるみる顔を赤く染める5人。
重要な役目に高揚しているのだろう。
私は隊長になるドレイクの手を取った。
「ドレイク、あなたの能力はマールに負けていません。お願いです。私を助けてください」
「……はい。美緒さまの御心のままに。……へっ、嬉しい事を言う。任せろ」
「うん」
ああ、心強い。
私はきっと成功する。
そう確信していた。
「エルノール」
「はい」
「付与を。転移門の使用許可を」
「っ!?……承知いたしました」
エルノールがサブマスター権限を使用する。
ドレイクと任命した4人の体が光に包まれた。
「まったく。……これは秘匿事項だ。最も全員に知られたが。……美緒さま、もしや全員にではないですよね?」
「もちろんだよ。だって……死んじゃうでしょ?適合者でないと。いずれは全員にします。でも今は……私の任命スキルで保護する人のみにしておきます」
「っ!?……流石です。……皆、聞いたな?美緒さまの力になるのだろう?研鑽に励んでほしい」
「「「「「「「「「「「「うおおおおっっ!!!」」」」」」」」」」」
「ほんと敵わねえ。……カシラ、俺達はお眼鏡にかなったのかよ」
「当たり前でしょ?私の大好きな、大切な仲間だもん♡」
私はにっこり微笑む。
信頼の想いを載せて。
「くあっ!?ふう。……ちっ、これじゃあさぼれねえじゃねえか。……お前ら、腹くくれ。俺達はこれから、伝説の一部になる。情けなくも怖い奴は出ていけっ………」
全員が真直ぐザッカートを見つめている。
瞳には覚悟の色がともっていた。
「ふん。お前ら全員ドMか?ったく。……よろしく頼む」
「「「「「「「「「「「「「「「「「おうっ!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」
「うん!」
「にゃ!任せるにゃ!!」
ああ、成長したのは私だけじゃない。
仲間全員が成長したんだ。
そしてきっと、もっともっと。
「もうみんな!……大好き♡」
私はたまらずザッカートに抱き着いた。
がっしりとした彼の分厚い胸板にちょっとドキッとしたことは内緒。
突然のことで驚いたザッカートは真っ赤な顔で固まっちゃったけど……
全員の心が一つになったんだ。
きっと今の私たち、相当に強いよっ!
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