第十五筆 黒き創作論!
――『書籍化を呼ぶ雄鶏』。
Web創作界隈の裏で流れる創作論で、多くの書籍化作家に影響を与えたというマニュアルである。
この創作論を唱えたのは『
多くの作品を書籍化させることに成功した実績を持ち、現在ではラノベ専門学校の講師を務める。
毎日流れるポストにはWeb創作の金言が書かれ、今でもなお多くのWeb作家に影響を与えている。
「こ、こんな創作論が流れていたのかッ!」
まるぐりっとより送られた『書籍化を呼ぶ雄鶏』。
そこには龍も知らない、目から鱗な創作論がそこに書かれていた。
その内容を読者諸君は括目して見よッ!
――――――
書籍化を呼ぶ雄鶏
① 文字数は3000文字以内。
Web小説の読者の多くはスマホで読む。
ダラダラと長い文章は目と指が疲れるだけだ。
文字数は3000文字以内にしてまとめろ。
出来れば、一つのエピソードの文字数は『1000文字』ほどにすることを強くオススメする。
これは有名な時代小説家S先生もやっていることだ。
先生は新聞で連載していた作品が多く、本になったときに連載当時の分量で段落が区切られている。
具体的には連載1回あたり1000文字程度。
この単位で段落が切れているので、各エピソードが程よくまとめられ非常に続きが読みやすい。
内容的にも小分けになっているので、濃淡が一定で読者の頭にも入りやすいのだ。
② 地の文は少なく。
Web小説を書く上で、よく勘違いされているのがここだ。
Web小説を愛好する読者達は『読みやすさ』を重視している。
読みやすさの小技としたら、一文を書いたら即座に改行していった方がいい。
上でも書いたがWeb小説の読者はスマホで作品を読む。
小さい文字を読むとき、行間が空いている方がぎっしり書かれているよりも読みやすいのだ。
特に文芸志望の人ほど地の文を多くして、心情・心理描写を描きたくなるだろうが『Web小説はエンタメ小説』ということを忘れないでもらいたい。
地の文を少なくする代わりに台詞を多めにしろ。
台本かと思われるくらいに台詞の応酬になってもいいくらいだ。
また視点は切り替えず、時系列も順番通りにすれば、物語というものは相手に伝わりやすい。
従って、群像劇などあまり手を出さない方が賢明だろう。
③ 悩んだときこそテンプレだ。
よく初心者が「何を書いたらいいかわからない」と嘆くポストを多々拝見する。
私自身、彼ら彼女らが何故悩むのか理解が出来ない。
例えばだ、ここにロボのプラモがあるとしよう。
箱の中にある、説明書を読めば子供でもかっこいいロボを組み立てられるということだ。
つまり、テンプレという説明書に沿えば誰でもプラモを作ることが可能だ。
また、古来より『巨人の肩の上に立つ』という言葉がある。
ストギルの先人達が苦心して編み出した『テンプレ』という型があるのを忘れてはならない。
転生や追放など、その時に流行しているテンプレ作品を三作品ほど読んで真似ればよい。
模倣も極まれば独創を生む。
それから忘れてはならないのが、テンプレの多くは『ハイファンタジー』か『異世界恋愛』だ。
そこから、ランキング上位の作品から学び模倣していけ。
間違っても、空想科学やホラー、ミステリーを参考にしてはならんぞ。
それらは人気のないジャンル。Webの読者は興味もなく読もうともしない。
ランキングを駆け上がり、書籍化を早くしたいのならばスルーがベストだ。
④ タイトルやタグで釣れ。
ストギルを始めとする多くのWeb小説投稿サイトには、毎日数多くの作品が投げられている。
下手をすると、一日に数千作品以上が投稿されるのだ。
書く側はよく「読まれない」などと、カスみたいな弱音を吐くポストを見受けられる。
非常に愚かなことだと私は思う。
君達も読者自身の気持ちになって欲しい。短いタイトルではどのような作品かわからない。
あらすじを見たところで、もし作者自身が作った造語が登場しては混乱させてしまうだけなのだ。
そこで参考になるのが2時間ドラマだ。
テレビ欄を見たときに、長文のタイトルは視聴者にインパクトを与え、かつどのような内容か非常にわかりやすい。
これはWeb小説にも当てはまる。タイトルには「転生」「追放」「ざまあ」「令嬢」などを使え。
また「追放」などのタグ付けを忘れるな。Webの読者はテンプレ的な展開・内容を希望している。
わかりやすく例えると『印籠を出さない水戸黄門に価値はない』のだ。
⑤ 書籍化を目指すにはエンタメを意識しろ。
書籍化を目指すWeb小説家の人にとって、その最終着地点のジャンルはラノベであろう。
地の文は少なく、でも書いたが『Web小説はエンタメ小説』ということだ。
エンタメは『キャラメイク』が非常に重要である。
キャラメイクが難しい作家もいるようだが、そんなときはキャラを記号化させればよい。
自分の好きな作品に登場するキャラをパクって表現すればよいだろう。
そもそも『この世にオリジナルなど存在しない』のだ。恥じることはない。
最後にWeb小説は芸術とは相反するエンタメ作品だ。
つまり、エンタメとは『銭になる商売』ということなのだ。
客、読者を気分良くさせて報酬を頂く。そのための努力をしろ。
エンタメ商業作家は芸術家ではないということは努々忘れてはならない。
書籍化を目指す諸君らの検討を祈る。
ラノベ作家 黒鳥 響士郎
――――――
「な、なんて、息苦しい創作論なんだ!」
読み終えた龍は開口一番にそう叫んだ。
ダラダラと長い文章なのはこの創作論だろ! と龍は数行目でそう思ったのだ。
だが、まるぐりっとのメッセージが龍の心を揺さぶる。
まるぐりっと@「塩対応令嬢」書籍化とコミカライズ決定!:ぷりちぃ☆ドラゴン、この基礎となる創作論を覚えましたか。このマニュアルに沿って書けば、あなたも余裕のよっちゃんタコで書籍化作家になれます。
(しょ、書籍化作家!)
ああ、なんということだ。
龍は『書籍化作家』という言葉に釣られた。
物は試し、この息苦しい創作論に沿って龍は書いてみることにした。
全ては『書籍化作家』というドラゴンになるためだ。
ギアドラゴン:はい! まるぐりっと様!
まるぐりっと@「塩対応令嬢」書籍化とコミカライズ決定!:ふむふむ……ボウヤよい子だねんねしな。この創作論にプラスして、私が異世界恋愛を書く上でのコツを教えてあげましょう。
ギアドラゴン:押忍! よろしくお願いしますッ!
こうして、龍の異世界恋愛への
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