第33話 ドレッドノート
「よーし。初戦は一通り終えて、1つコマを進めたと」
青ジャージの教官が、そう言うと、
「「はいっ」」
グラウンドに整列した、特進クラスの生徒が返事する。
「クソッ」
モヒカン男が、悪態をつく。
「あー、ここで言い忘れていたことを思い出したわ」
教官が、白々しく言う。
「えっ、なんですかそれは?」
生徒たちが、どよめく。
「初戦で敗退した15名は、特進クラスから普通クラスに行ってもらう」
突如、特進クラスの生徒半分を降格させると言う、青ジャージの教官。
「なッ!」
口を、あんぐりと開けるモヒカン男。
「そんな、横暴だーーッ」
「最初に、そういうことは、言うべきだろうが!」
生徒たちが、口々に文句を言い始める。
「まぁまぁ、そう
青ジャージの教官が、鼻で笑う。
「なんだよ。大人しく聞いてりゃあ」
一触即発のモヒカン男。
「そうだよ。特進クラスはプロ確定だからって、厳しい授業に耐えてきたのに………」
四つん這いで、嘆く生徒。
「そうだ、そうだ」
「それじゃあ、あきらめるか?」
青ジャージが、生徒に詰め寄る。
「なに?」
「普通クラスでも、お前らならプロになれるだろ。放棄するか」
口角を上げる青ジャージ。
「詭弁だ」
「問題の、すり変えだ」
さらに、文句をやめない生徒たち。
もし、追加で普通クラスに落とされたら、たまったもんじゃない。
「なんとでも言え。決定は、くつがえらん」
言い放つ青ジャージ教官。
「クソォ!」
さわちゃんを、にらみつけるモヒカン男。
「あぶなかったわ、そんなのアファエルからも聞いてないし」
少し、ホッとするさわちゃん。
「おのれぇ」
その頃
「はぁ~。やっと今日の授業終わった」
わたしは、少し疲れちゃったわ。
「ずっと、座学とか。しんどすぎるって」
かすみちゃんが、机に突っ伏して言う。
「あー、飛びたい飛びたいーッ」
レミアちゃんが、駄々っ子のように言う。
「ホントにね」
わかりみが強いわたし。
「亀崎教官に言ったら、なんとかしてくれるかな」
レクラちゃんが言うと、
「ダメでしょう。あの教官に言っても」
ミキハちゃんが、冷めたように言う。
「だねー」
かすみちゃんが、突っ伏したまま言う。
「あっ、そうだ」
わたし、思い出したわ。
「ん、どったの?」
かすみちゃんが聞くので、
「アファエルのマンション」
つい、言ってしまう。
「えっ? アファエルのマンションがどうしたの?」
レクラちゃんが、聞いてくる。
「いえ、アファエルが、シミュレーターを持ってて、それを思い出したから」
もしかしたら、乗せてもらえるかも。
みんなには、黙っておくべきだったかな。
「それだ!」
かすみちゃんが、ムクッと起きて言う。
「ってか、アファエルのマンションに行ったんだね」
レミアちゃんが、わたしに聞く。
「あっ、うん」
あまり、言いたくはなかったけどね。
レミアちゃんが、熱い視線で見てくる。
「ねぇ、みんなでアファエルのバイト先に行こうよ」
レクラちゃんが言うと、
「だね。そのまま、マンションまでなだれこもうよ」
ミキハちゃんも、ノリノリで言う。
「賛成~」
かすみちゃんが、両手を挙げる。
「それじゃあ、レミアちゃん。アファエルのバイト先まで、連れて行ってね」
と、わたしが言うと、
「あっ。うーん、バイト先を言わないと、アファエルのマンションに行けない………」
なにやら、いろいろ考えて小声で言っているレミアちゃん。
「なーに、ブツブツ言ってんの?」
かすみちゃんが聞く。
「いきなり、マンションに押し掛けるのは、失礼でしょ」
わたしが、レミアちゃんに言うと、
「うーん、そうだよね」
しぶしぶ納得するレミアちゃん。
「それじゃあ、行こー!」
「もう、仕方ないかぁ」
乗り気じゃないレミアちゃん。
「ハイハイ」
かすみちゃんが、レミアちゃんの背後から両肩を掴む。
「押さないでよ」
そのまま、押されるように教室を出る。
「ここが、そうなの?」
ファミレス「ドレッドノート」に着く。
「そうよ」
レミアちゃんが、うなずく。
「「いらっしゃいませ」」
店内に入ると、リホナちゃんとアファエルが出迎える。
「アファエル」
わたしが、呼び掛けると、
「えっ、なんだお前ら」
露骨に、イヤな顔をするアファエル。
「アファエルが、どんなバイトしているか見ようってことでェヘッェヘッ」
ミキハちゃんが、照れ笑いする。
「なんだよ。この席ならあいてるぞ」
テーブル席に、案内するアファエル。
「ワーイ」
次々と、席に座る。
「ご注文は?」
間髪入れず、聞くアファエル。
「そうだなー」
「あっ、パフェがかわいいね」
レクラちゃんが、顔を輝かすと、
「フフン。そうでしょー」
レミアちゃんが、鼻息を荒くする。
「なんで、レミアちゃんがそんなに自信マンマンに言うの?」
わたしが聞くと、
「いやっ、別に」
誤魔化すレミアちゃん。
「やっぱ、軽くスイーツを食べるよね」
ちょっと、ガッツリメニューを食べる時間帯じゃない。
「そうよね。この後で」
と、口をすべらせるかすみちゃん。
「ん? どこか行くのか?」
アファエルが、聞くと、
「いやー、どこだっけ?」
「アハハ」
一斉に、メニューで顔を隠すメンバー。
「なんだ。ワケわからん」
首を、かしげるアファエル。
「みんな、パフェたのもー」
レクラちゃんが言うと、
「オッケー」
みんなで、同じのを頼む。
「わっ、思ったより大きい」
すぐに、運ばれて来たサイズ感におどろく。
「おいしそうね」
レクラちゃんが、ホッコリした顔を見せる。
「おいしさは、レミが………」
つい、口走るレミアちゃん。
急に、口をつぐむ。
「えっ、なにそれー」
かすみちゃんが、つっこむが、
「さっ、食べて本題にうつりましょ」
スルーして、そう言うレミアちゃん。
「オーケー」
「おいしい~」
一斉に、頬張るメンバー。
「そうね、うまい!」
味を絶賛されたレミアちゃんは、内心喜びのバンザイをする。
「フフン」
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