番外編 酔いどれ

「ここらへんで、ポートレースやジェットモービルについて話そうと思う」


 わたしが、グラスを傾けながら言うと、


「なんだ、酔っぱらって変なモードになってんぞ?」


 アファエルが、苦笑いしながらつっこむ。


「大丈夫。まだ酔ってない!」


「ハイハイ、酒くせぇな」


「2025年、空の交通革命がおきて、みんな思い思いに空を飛べるようになった」


「その昔話、まだ続けるんだ?」


 あきれるアファエル。


「そこへ、彗星のようにあらわれたのが、ジェットモービルなのだよ~」


 2メートルほどのボディの背中?に乗るモビリティ。

 上空3000メートル以上まで飛べる。


「あれは、衝撃的だったな~」


「当初は、海の上を飛んで遊ぶ為の遊具として登場したんだけど、陸の上空も飛ぶ者があらわれて、その後システムを改修することに」


「ある意味、自由を奪われたな」


「そう。高度なGPS管理のもと、住宅など建物の上には、どうレバーをひねろうが飛べなくなったの」


「まぁ、逆に道路の上は飛べるんだし問題ないがね」


「そこで、その機能を拡張して開催されたのが、ポートレース!」


「静かに呑もうぜ」


 わたしを、いさめるアファエル。


「つまり、競馬場とかの上に、仮想のコースを作って、そこで競技をするようになったのよ」


「最初は、簡単なコースだったのに、最近は迷路かよってコースを作りやがる」


「そう。そうして新しい公営ギャンブルが誕生したのでした~」


「はいはい。お会計ね」

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