第4話
冷蔵庫にあった卵とウインナーが、この家での最後の食事になる。ウインナーは軽く炒めて塩コショウで味をつける。卵も塩コショウで。
「マヨネーズがあったらコクが出るんだけどなぁ...」
まぁないものは仕方がない。冷凍庫に入っていた白飯を温め、インスタントのわかめの味噌汁をコップに出しておく。死体の隣で生きるための食事を用意するのはなんだかチグハグだ。
「マシロ、早く上がってこないかなぁ」
少しそわつきながら、マシロを待つ。食事を終えた後はどうしようか。マシロは何処へ行きたいだろう?海、山……。あ、遊園地?水族館に動物園。それから...ショッピング。可愛い洋服や靴も見たいなぁ。後は…。
「おまたせ」
「全然待ってないよ、今お味噌汁入れるね」
コポコポとコップにお湯を入れる。こういう時インスタントは便利だ。温かいものは良い。何があったとしてもホッとするから。例え姉が人を殺そうと、父が横で死んでいようと。
卵焼きとウインナー、ご飯を温め直して机へ置く。
「できたよ!食べよっか」
「うん、ありがとう」
どれもホカホカと温かい。
「ねぇマシロ、これからどうしようか?」
食事を食べ進めながら聞く。
「どうしようね。何も考えてなかった」
「やりたい事とかないの?水族館行きたいとかショッピングしたいとか」
「ショッピングはミツキがしたいだけでしょ。でも水族館いいなぁ」
「それなら水族館に行こう!」
水族館なら隣の街へ行けばある。電車で少し揺られていればすぐに着く。
「ミツキは?行きたいところないの?」
行きたいところか...。
「うーん、そうだなぁ...。可愛いブーツが欲しいかなぁ」
「じゃあそれも見に行こう」
「やった、嬉しい」
そうと決まれば今日早く寝なくては。明日は早く起きて行動しなければいけない。
「ご飯も食べ終わったし、寝ようか」
「そうしよっか、ねぇマシロ。今日は一緒に寝てもいい?」
「しょうがないなぁ」
モゾモゾとましろの布団へ潜り込む。一人で寝ているよりずっと温かい。明日はお出かけ。久しぶりのお出かけだ。楽しみだなぁ。
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