『トランセンディア・スパイラル』は、ただの乙女ゲーム風恋愛小説にとどまらない、複合ジャンルの魅力が詰まった物語です。
SFやファンタジーの要素に乙女ゲーム的なマルチエンディングを掛け合わせ、同じ世界観なのにルートごとに違う風景やキャラクターの輝きを見せてくれます。
ヒロインのトリアは健気で真っすぐな心を持ち、彼女を通して読者は何度も胸を打たれます。光と闇が入り混じる都市の情景は美しくも切なく、キャラクターたちが絶望や陰謀に立ち向かう姿は勇気を与えてくれます。
アクションの迫力やカーチェイスのスリル、友情や恋愛の温かさ──そのすべてがバランス良く盛り込まれており、多方面の期待に応える作品です。
「一つのジャンルでは括れない物語を読みたい」「キャラクター全員の魅力を楽しみたい」──そんな人におすすめしたい、心で読むファンタジーです。
最終話まで読了してのレビューです。
★はかなり以前に入れていたのですが、どうレビューを書こうかと悩んだ末にここまで引っ張ってしまいました。
まずジャンルが恋愛になっているので、ああ、よくある恋愛ものか、と思ってブラバしないでください。
本作は恋愛というジャンルで一括りにできない面白さがあふれています。舞台は異世界、ファンタジーやSF要素たっぷり、そして世界観は乙女ゲームです。
なお、作者様自身があとがきでその辺りを語っているので、そこから入るのも本作に限ってはありかもしれません。
複合ジャンル作品であり、それらが巧みに組み合わさっているので、一つのジャンルに絞れないところは読み手にとってデメリットになりえますが、そこさえ乗り切れば、すぐに本作の魅力に引き込まれることでしょう。
物語の内容については、他の方のレビューに譲るとして、乙女ゲームの典型的な流れをくみながら、小説でマルチエンディングを描くというかなり高度な内容になっています。
一人のヒロインに対して、攻略側は五人の男たちです。そのためにストーリーが分岐していきます。
これ、一歩間違えば破綻まっしぐらなのですが、本作にはそれがありません。
一人一人の物語の完成度が高く、五人のうち推しを一人選んでそれで完結、でも十分に成立します。
それでは勿体ないとばかりに、五人分しっかり用意されているので、それぞれの魅力に触れてほしいです。
もう一点、本作は長い長いタイトルで全てを現わすような真似はしていません。全く持って潔しです。
ここもとっつきにくさを感じる点かもしれませんが、本当に読んで損なしの珠玉の作品なのは間違いありません。
ぜひこの機会に手に取ってみてください。
まず目を引くのは、「弟切草」や「かまいたちの夜」と言ったサウンドノベルゲームにてよく見かける、マルチエンディング方式を採用している点だろうか。
物語毎にルートが分岐し、キャラクターの活躍度合いや結末が変化したりする。ヒロインのトリアを始め魅力的なキャラクターが複数登場するので、過不足なくキャラクターに活躍をさせたいと言う粋な計らいだろうか。
また読み易さに重点を置き、一話一話毎の長さも長過ぎず短過ぎずの丁度良い塩梅となっている点も注目。
荒野と口笛が印象的な往年の名作RPG「ワイルドアームズ」を彷彿とさせる、近未来的ながらも何処か退廃的な世界を舞台に、陰謀や絶望に立ち向かう主人公たちによる重厚なヒューマンドラマが紡がれる。
分岐した可能性の果てに待つは、希望か。それとも絶望か。その目で確かめてみては如何だろうか。
科学と魔術が手を取り合う未来都市「トランセンディア」で繰り広げられる、記憶と魂の物語──『トランセンディア・スパイラル』は、SFやファンタジーの枠を越えて、読んだ人の心に静かに語りかけてくるような、そんなあたたかさを感じる作品でした。
国家に翻弄されながらも、自分の信じるものを守ろうとするトリアたちの姿に、何度も胸が熱くなります。光と闇が共存する都市の情景もとても印象的で、美しさと切なさが重なり合って胸に残りました。大切なものを選び取り、進もうとする彼らの姿は、そっと背中を押してくれるようです。
心を揺らす物語に、ぜひ触れてみてください。
世界観は科学技術と魔法がある世界。
ゲームでたまに見かける世界観ですね。
最終幻想だとか。野生のアームズとか。
そう言う世界観で、複数のキャラクターが友情や愛情で衝突や成長をして行く話です。
人間ドラマを重視する人には向いた作品だと思います。
1話あたりの文字数もそれほど多くなく、空き時間に読んでいくことに向いているかと。
ただ、ヒロインは1人しかいません。
女性キャラは複数出てきますが、恋愛対象はたった1人です。
(それが良い人には良い点に数えられると思いますが)
他の特筆事項としては、エンディングまでの流れが複数用意されていることでしょうか。
終盤の展開がまるでマルチエンディング方式のように、複数書かれています。
推しのキャラの活躍が物足りないと感じた人への救済措置ですね。
科学と魔法が交差する近未来、世界の破滅を目論む悪の組織に寡黙な戦士、天才技術者、知将、熱血リーダー、そして秘密めいたムードメーカーの五人が立ち向かう!
というのがざっくりとしたあらすじなのですが、この作品の特異なところは、ストーリーが分岐するところにあります。五人の魅力的な男性たちは、一人のヒロインと恋に落ち、それぞれの世界線でその恋に突き進んでいきます。そしてそれぞれのキャラクターにエンディングが用意されているようです。自分もまだその分岐したシナリオを読んでいる最中なのですが、一つひとつの物語はよく練られていて、そこで終わっても遜色ないものに仕上がっています。
作者のMaya Estivaさんは何と過酷なことをされているのだろうと感心しきりなのですが、そんなシナリオ分岐ゲームの世界へ、ぜひあなたも足を踏み入れてみませんか?
こちらの作品は乙女ゲームのように共通ルートがあり、
5人の頼もしい男性キャラが登場します。
幼いころから一緒で優しい兄のような存在のハロルド
お茶らけているけどどこか影があるクインシー
リーダーとしてチームを引っ張っていく豪傑肌のロイ
寡黙で誠実なロイの忠義者ニコラス
いつでも冷静沈着な分析者ユージーン
各ルートに入ると、それぞれの男性キャラとの
恋愛ストーリーを読むことが出来ます。
主人公のトリアは優しくて強い素敵な女性です。
世界を揺るがすほどの大きな脅威を前にしても、
臆することなく、愛する人と一緒に前へ進んでいく姿は
読んでいて胸を打ちます。
ぜひ読んでみてください。
これは、見事なまでのSF的世界観と異世界ファンタジー世界観の融合だろう。どちらが変に主張するでもなく、見事に調和しているのである。
そして、主人公トリアを取り巻くキャラクターたちも、皆それぞれに魅力的で、さて、では誰の物語を読もうかと迷ってしまうことだろう。
乙女ゲームのつくりというのは、最初に共通ルートがあり、それから個別ルートに入っていくというものがある。誰か一人だけで謎は解明されず、全員とのルートを見ることで謎が解き明かされていくことも。
この作品はまさに、そういうつくりをしている。
それこそ、乙女ゲームが好きな方はわくわくできるのではないだろうか。目指せフルコンプリート、というわけだ。
もちろん見所は恋愛のみではない。
緊迫感溢れる戦闘シーンもある。しっかりとした情景描写がある。おなかいっぱい楽しめることでしょう。
ぜひ、ご一読ください。