第1章⑨:クインシーの正体

 深夜、クインシーは再び地下研究室に一人で戻っていた。

 彼の表情からは、先ほどの陽気さが消え失せていた。


 「報告だ」


 クインシーが通信機を通して喋りかける。

 その相手は、シャドウベインの連絡員だった。


 「予定通り、標的ハロルドとの接触に成功した」


 通信機の向こうから声が響く。


 「分かった。計画通り進めろ。報告を怠るな」

 「了解」


 クインシーの目に冷たい光が宿る。

 通信が切れた後、クインシーは内心で冷笑しながら独りごちた。


 「思ったよりスムーズにいったな。ここまでは順調」


 クインシーの瞳が光る。


 「懐に入ってしまえば、後はもうこっちのものさ」


 全てはクインシーの筋書き通りに進んでいた。

 華やかなナイトクラブの地下で、巨悪犯罪組織シャドウベインの陰謀が、静かに動き出していた。

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