Voice.42 温泉といえばコーヒー牛乳だよね
夜まで合同合宿をしたオレ達は、ホテルの温泉に入ることにした。
湯船は足がのばせそうなくらい広い。
温泉に浸かりながら、メガネが言った。
「あー疲れた。でもけっこう作業進んだな」
「ああ。オレもいつもより筆が乗った」
文豪がそう言ったところで、メガネは咳払いをする。
「ところで……」
そして、隣の壁を見て言った。
「隣って女湯だよな?」
「そうだな」
メガネの問いかけに、文豪と2人でうなずく。
「わー! お風呂広ーい!」
すると、明石の声が聞こえてきた。
女子達の声は反響して、すごくはっきり聞こえる。
別に変なことは考えていないけれど、思わず聞き耳をたててしまう。
木暮が言った。
「茉昼、湯船入る前にちゃんとお湯かけなよ」
「わかってるってー」
壁越しに、お湯をかける音が聞こえる。
「……あ!」
すると、明石が男湯まで聞こえるくらいの大きな声で言った。
「やっぱりみんな胸大きいね!」
いきなりの爆弾発言に、オレ達3人は思わず声をあげてしまいそうになる。
篠原は驚いたように声を漏らした。
「な、何言ってるの茉昼!?」
「そ、そうだよ。ここいちおう公共の場だよ」
「えー? 別にいいじゃん。今私達しか居ないんだから」
笹山が話を終わらせようとするけれど、明石は話を続ける。
「うーん。私が見た感じ、朝陽と美月ちゃんはC、歌織ちゃんはD、夕乃はBってところかな。ちなみに私はB」
「なんか私にまで話ふっかかってきた」
音海がため息をついて言った。
オレには姉ちゃんが居るから、今篠原達がしている話がなんの話かわかってしまう。
早く湯船から出たい。
すると、木暮が恥ずかしそうに言った。
「た、たしかにBだけど……身長から計算したらそんなに小さくない」
「夕乃155センチだもんね」
「うん。だから小さくない」
すると、篠原が思い出したように声をあげる。
「ところで……」
そして、隣のほうに向けて言った。
「隣って男湯だよね?」
「そうだね」
女子達が言った。
なんか嫌な予感がする。
「もしかして、今の私達の会話、男子に丸聞こえなんじゃない……?」
――予感が的中した。
すると、篠原がオレ達の居る男湯に向けて声をかける。
「せ、瀬尾くん達、居るー?」
「い、居るー」
オレの返しに、篠原は言葉を詰まらせながら聞いてきた。
「も、もしかして今の話聞こえてた?」
「……聞こえてた」
「つっ……!」
オレが正直に答えると、木暮は声にならない声をあげる。
「変態! 信じられない! もう結婚できない!」
漫画とかアニメとかならごほうびになりそうな木暮の言葉が、大浴場に響いた。
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