第六話 Determination

遊びに行って数日。俺はずっと頭を悩ませていた。


「遊びに行くってどこがいいんだ…」


そう。あの約束をしてからそのことで頭がいっぱいで、しかも思いつかないという最悪の状況が続いている。


調べたりもした。ベタに「好きな人 デート」や「夏 オススメスポット」などTheモテない男の調べるような検索履歴が残っている。事実モテないが。しかし、このデートで一つ俺は覚悟を決めたことがある。


告白だ。早計すぎる気もするのだが相手は渡良瀬なのだ。このままいてしまうと誰かに取られてしまう可能性だってある。だからこそちゃんと楽しめつつ告白出来るような雰囲気もある。そんな場所を求めている。…のだが。ほとんど経験のない俺がそんな場所を知っているわけもなく検索をしても知らない場所なわけでぱっとしない。


そんな風にさらに数日。悩みに悩み、涼しい場所がいいなということもあり水族館にした。まだ自分の中でだけだけど。


「どう送ればいいんだ…?」


失念していた。行き先を決めたはいいもののどう送れば良いだろうか。向こうから何かアクションを待つか…?いやそれだといつになるか…と、一人頭を悩ませながら打ったり消したりを繰り返していた。


『水族館にしようと思うんだけどいついける?』


何のひねりもない普通過ぎるような文章を打ち込む。これで送るかスマホを机に置き腕を組みながら考える。…んーいや変えよう。


そう思いスマホを手に。そこで事件が…というか普通に送信してしまった。


しまったと思い画面に目をやると既読の文字がついていた。やらかしたと言う気持ちで頭が埋め尽くされる。それから何分経ったのだろうか。いや実際は数秒の事だったのだろう。渡良瀬からのメッセージが届いた。


『行く!いつにしよっか』


メッセージの後にワクワクと書かれた犬のスタンプが送られてきた。どうやら成功したようだ。


『私はいつでもいいよ!』


いつでもが一番難しいな…晩御飯の時適当言ってごめん母さん…


頭を悩ませ一週間後の水曜日に決めた。それを伝えるとすぐに『わかった!楽しみにしてるね!』のメッセージと了解と書かれた猫のスタンプが送られてきた。


こうして俺こと深山旭の告白という大勝負の舞台は整えられたのだった。

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