第37話
「山崎、時田くん入られたから挨拶に行くよ」
「はい」
控室に顔出した澤田さんの声を合図に立ち上がる。
今から挨拶に向かうのはW主演のもう1人、私の相手役を演じる
高校3年生の時にスカウトされたことから事務所入りし、高校卒業を期に本格的に俳優デビューを果たした、まだデビュー2年目の20歳。
初めてのオーディションでいきなり役を獲得した映画が、先月公開されたばかり。
それ以降、ドラマにも何本か出演している。
そういう意味でも、この映画は業界内外からの注目を多分に集めている。
コンコンコン、と澤田さんがドアをノックすると部屋の中から「はい」と控えめに返事がある。
それを確認して声をかける。
「おはようございます。山崎くるみです。ご挨拶に伺いました」
すると中から慌てたような物音がして、すぐにドアが開いた。
「おはようございます、すみません……」
焦った表情を浮かべる時田さんに、私は完璧なアイドルスマイルで応える。
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