第35話
「!」
「胡桃を諦めるつもりはないから」
耳に押しつけられた唇から直接、言葉を吹き込まれる。
滾っていた血液が、別の熱を連れてくる。
甘く囁く声に、どくり、と心臓が脈打つ。
「それだけ覚えとけよ」
夏瑪くんは動けなくなってしまった私をおいて、さっさと出入口に向かう。
ノブに手をかけたところで、思い出したように振り返る。
「そうだ、おまえ来月から撮影だろ?」
「え、そうだけど……」
突然の問いに体の硬直も解ける。
何かと思えば仕事の話?
夏瑪くんは至って真剣な様子で口にした。
「時田には気をつけろ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます