第24話

「はい、オッケー」



ヘッドホンをから流れていた音が途切れる。


代わりにオッケーの返事を貰って、ヘッドホンを耳から外す。



「今ので全部ね、お疲れさま」


「お疲れさまです。ありがとうございました」



ガラス越しの部屋の向こうには、いつも私を担当してくれるディレクターさんとGreatidiotのメンバーが揃っている。



「横尾さん、ありがとうございました。あとはこっちでするので」



バンドのリーダーである秋芭アキハくんと、ディレクターさんのやりとりを横目にブースから出る。


スタジオの中に入ると、ソファーに沈む夏瑪くんと目が合った。



「くるみ、急遽ごめんね。助かったよ。ありがとう」


「全然、いい経験になりました」



秋芭くんはその柔和で優しそうな雰囲気に違わず、紳士的な挨拶をくれる。


そこで偉そうにふんぞり返っている、どこぞのボーカルとは大違い。

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