第25話

「同じ事務所に実力者がこんだけ揃ってるってのは強みだね。いいもの見せてもらったよ」


「ナツメが言い出した時は、何言ってんだって思いましたけどね。最高の仕上がりにしますよ。な、ナツメ?」


「とーぜん」



その不遜な態度、なんとかならないのかしら……。



それにしても、他人名義の作品に自分の名前が載るのってなんだか不思議。



こんなことをしていて本当にいいのかな。


もちろん、事務所側がオッケーを出したことだし、仕事としてやっているわけだけど。



どこまでが純粋なそれか判別がつかなくて、居心地の悪さは否めない。



その意図が、目的が、分からないから。



使い慣れたスタジオと見知ったメンツでは、仕事とプライベートの境目すら曖昧だ。



気を抜いたら、すぐに蹴落とされるのがこの世界。


昨日まで自分の立っていた場所に、今日も当たり前に居場所があるとは限らない。


奪い合いの椅子取りゲーム。



それがこの世界。



そこに身を投じている以上、私の人生は私だけのもじゃない。


与えてもらえるものは、全力で守らないといけない。

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