第22話

「さぁ、そこまで聞いてないけど」


「ふーん」



勘の鋭い清佳には、つきあいの長い私のことなんてきっとお見通し。


だからこそ、言葉にできないこともあるわけで。



人目だとか、立場だとか。



そんなこと、彼女も分かっているからわざわざ言葉にすることもない。



「何時から?」


「18時から。清佳は?」


「私も18時から新曲のダンスと歌唱レッスン。リリイベと歌番組用の」


「そっか、来週発売だもんね。しばらく忙しいね」


「くるみも来月から撮影でしょ?ツアーもあるし、ラプうちらとのコラボもあるし、無理しないでよね」


「ありがと。清佳もね」



小学生の頃からずっと切磋琢磨し合ってきた仲の清佳とは、この蹴落とし合い、腹の探り合いの芸能界の中で、親友と呼べるくらいの信頼関係で結ばれている。


背中を任せられるような安心感が、彼女にはある。



ライバルでもあり、同志でもある存在だ。

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