第7話
20時からって……。
もう19時をとっくに回っているっていうのに。
「早く行かないと、遅れたらどうするの?」
「この近くの出版社だからだいじょーぶ」
何が「だいじょーぶ」なんだか。
渋滞にでも捕まったらどうするのよ。
「他のメンバーは?」
「いないよ。俺だけ」
「前島さん、待ってるんじゃない?」
「待たせとけばいーよ」
「何言ってるのよ、見つかる前に出てっ……」
埒の明かない応酬に見切りをつけ、夏瑪くんの自然と人を威圧するような視線に支配された空間から抜け出そうと、背を向けたのが油断に繋がった。
じんわりと汗ばんだ首筋に張りついた黒髪を、その隙間に忍び込んだ掌が払う。
露になった肌に、柔く噛みつかれた。
「……ッ!」
びくり、と跳ねた肩に熱い掌が触れて、唇が首筋を滑る。
どちらのものか分からない熱に侵される。
―――コンコンコン…。
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