第8話

"生徒" と "教師"




私たちの間には、決して越えられない高くて厚い壁がある。



幼なじみとはいえ、今年高校に進学した私と社会人1年目の男。


女子高生と高校教師。


未成年に手を出す成年者。



密かに逢瀬を重ね、体温を共有するこの不埒な関係は、世間から見れば決して許されるものではない。




不安定な関係性の隙間に、そっと堕とした甘い罠。



これは、私が男に課せた弱み。




一般論で言えば、圧倒的に男の方が立場は弱い。


私が「襲われました」と訴えたら、教師である男はそこで終わり。



カードは私の手中にあるも同然なのだ。



もちろん、そうなれば私だってただでは済まないだろうことは分かっている。

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