第16章 ロナータ最古参オフだけど、なにか?
第43話 ハナヒメです
どうも皆さん。
はじめましての人ははじめまして。知ってる人はこんにちは。ハナヒメです。
えっ、誰かって?
知らないのも無理はありません。私はただの一般人。そう、ロナータさんを初期から追い続けているただの一般人です。
そんな私は今日、シン・トウキョウのとあるレストランに来ています。都内某所というやつです。古い西洋風屋敷の外観をしていてドレスコードも決められた格式高いレストランです。私も初めて来ました。
こんなところにいるのは私がお金持ちだからというわけではありません。お父さんは戦争の後始末で亡くなってしまいましたが、お母さんは医療事務の仕事をしています。私はというとシン・トウキョウ大学の二年生です。浪人はできないので頑張って現役で合格しました。
そんな私が、なぜ場違いにも程があるこの場所に来ているかというと、
ロナータさん最古参オフ会が開かれるからです!
ロナータさん。
配信サイトで数年前から活動を始めたダンジョン配信者。
私は彼がフォロワー七人の時代から追い続けてきました。もちろん、七人のうち一人はこの私です。最近、急激にフォロワーを伸ばしてきていて、最古参としては鼻が高いです。ヘヘン。私の目に狂いはなかったぞって、そんな気持ちです。
さて、先ほどからどうして私がこんな一人語りをずっと続けているかと言うと……
助けて欲しいからです!!
最古参オフですから、集まったのは私含めて七人。西洋風屋敷の個室で円卓を囲むように座っています。
けど、けど……、そのメンツが、
あまりにも濃すぎる!!
ジャスミン(デーモンモード)
●レベル:100
●体力:99
●魔力:100
●筋力:100
●防御力:95
●多才力:89
●速力:98
●魅力:87
●コアスキル:
サトル
●レベル:78
●体力:40
●魔力:85
●筋力:30
●防御力:35
●多才力:90
●速力:25
●魅力:70
●コアスキル:
デネキス
●レベル:85
●体力:70
●魔力:99
●筋力:65
●防御力:85
●多才力:70
●速力:80
●魅力:80
●コアスキル:
ショウヘイ
●レベル:20
●体力:100
●魔力:0
●筋力:100
●防御力:80
●多才力:70
●速力:85
●魅力:50
●コアスキル:スイーパー
アワハラ
●レベル:100
●体力:100
●魔力:100
●筋力:100
●防御力:100
●多才力:100
●速力:100
●魅力:100
●コアスキル:
ともだち
●レベル:0
●体力:0
●魔力:0
●筋力:0
●防御力:0
●多才力:0
●速力:0
●魅力:0
●コアスキル:チームともだち
お分かりいただけたでしょうか。バケモノばかりです。
一方の私はというと……
●レベル:20
●体力:25
●魔力:20
●筋力:15
●防御力:17
●多才力:25
●速力:25
●魅力:30
●コアスキル:エターナル・メモリア
はい、お察しって感じですね!
なんかレベルは50以上が当たり前だし、パラメータカンストしてる人もいるし、なに、オール100って、どういうこと? オールカンストとか聞いたことないんだけど。
それ以外にも配信者のジャスミンさん(なぜかダークジャスミンだし)や、サトルさんまで。教科書に出てくるレベルの人がフォロワーって……。
あれ? もしかして私、部屋間違えた? スタッフさんに案内された部屋だけど。
そうだ。きっとそうに違いない。ここは世界を裏で操るディープステートの会合で、ロナータさんの最古参オフはメガネをかけてそばかす生やしたチー牛が集まってるはず。あとでお手洗い行くついでにスタッフさんに尋ねてみよう。
ふと、サトルさんが立ち上がりました。
「皆さま、今日はロナータくんの最古参オフに来ていただき、ありがとうございます。ワシは会の発起人のサトルと言います。どうぞ、よろしく」
はい、私の儚い希望終わった〜。スタッフの方はちゃんと私を案内してくれていました。さすがスタッフさん。
「フッ、まったく奇なることもあるものだね。まさか、こんなところで君とまみえることになるとは」
スーツ姿の一人が声を上げました。確か、アワハラさんだっけ?
「いまここで決着をつけてもいいのですぞ、大魔王よ」
へっ?
いま、サトルさん大魔王って言った? アワハラって人、大魔王なの? あの戦争を起こした?
戦争を始めた人と終わらせた人。その二人が対面している。しかもロナータさんのオフ会で!
「いいだろう。長年の決着、ここでつけようではありませんか」
アワハラさんはおもむろに立ち上がると、周囲からエネルギーを吸収し始めました。はわわわ、これって冗談だよね。何かの余興だよね。まさかここで第四次世界大戦勃発とかならないよね!?
「まあまあ、そこら辺にしておきましょう。今日はロナータさんについて語るオフ会なんですよ」
ショウヘイさん(だっけ?)が立ち上がって二人の間に入ってくれました。私より若いのにしっかりしててすごいなぁ。
「まずはやっぱりロナータさんを知ったきっかけじゃないですか? 僕は昔、彼に救われたことがあるんです。間違えてダンジョンに迷ってしまったとき、下級悪魔から助けてくれたのがロナータさんでした。それ以来、あの人のことを追いかけているんです」
「あたしとデネは幼馴染だ。なあ、そうだろう?」
ダーク・ジャスミンさんの声にデネキスさんという警察制服を着た人が顔を覆いながら言いました。
「ククククク、左様。私たちは学生時代、共に勉学に励み、己を高め合った級友、いやライバルだ! ハハハハ」
——うわぁ、痛い人だ。
絶対、将来結婚式で昔のビデオとかで流されて憤死する人だ。私も昔、仮面ライダーオタクしてたからわかるなぁ。ベルト巻いてポーズ取ってるビデオが葬式で流れたら、生き返る自信あるもん。
でも、二人はロナータさんの幼馴染なんだ。ジャスミンさんに至っては事務所まで一緒なんて、すごい偶然。
次に口を開いたのはサトルさんです。
「彼の父親がワシの大切な戦友でな。それ以来、彼のことは実の息子のように見ているのです」
目尻に皺を寄せて笑みを浮かべる元英雄の姿は、私たちが平和に暮らしている証跡を見ているようでした。
一方のアワハラさんこと大魔王は
「彼は元々高いポテンシャルを持っていましたからね。注目していただけのこと。まあ、誰かさんのせいでその力は封じられてしまったようですが」
と、ジャスミンさんの方を見ました。
「んだとジジイ、燃やしてやろうか」
ジャスミンさんは手から紫色の雷をバチバチと出して威嚇します。本当に人一人燃えてしまいそうな雷です。それに対して誰も何も言わないなんて、この人たちはやっぱりおかしいと思います。
「ともだちは、彼とは『友達』だからね。そりゃ、もちろん知ってたとも」
次に口を開いたのは私の隣に座る覆面の男です。男、なのかな? ボイスチェンジャー使ってて声が変になってるし、何より頭に被ってるマスク、気持ち悪っ。赤い絵の具で手の甲を描いて、その中に一つ目が描いてある。どこかの宗教家でもないかぎり、そんな趣味の悪いマスクつけないよ。
「前々から言おうと思っていたんだが……」
そのマスク男に向かってアワハラさんが口を開きました。
「君は……誰だ?」
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