第13章 悪魔と野球対決だけど、なにか?
第36話 これが我がチームのシックスマン
昼の陽射しが差し込む球場。スタンド、フェンス、スコアボード。全てが岩でできたその球場は、まるで巨大な要塞の中にいるようでした。
ここはジングウ・ダンジョン。他のダンジョンでは見ない屋外野球場を持つただ一つのダンジョンです。
アカツキ(ワイ様のおかげ!)
そんな球場の一角、ホームベースを挟んで二つのチームが整列していました。
一方は人間集団。ロナータ、神さま(特別枠だよ)、ザンテツ、ジャスミン、カゲマル、そしてデネキス(異界警察の人だよ)。
もう一方は異形の集団。ザンテツ、マダム(都合により人間態)、ズッコ、バズ=ジャック、そしてアカツキ。
背丈、性別、体格、姿、形、大きさ違えど彼らが目指すものはただ一つ、
勝利のみ!
なぜ、こうなったか。
話は二日前に遡ります。
***
その日、ダーク・デーモン=サタンがアカサカにあるMUUU事務所を訪ねてきました。悪魔は「条約」によりダンジョンの外で力を振るうことはできません。サタンも頭頂部が薄くなった中年男性の人間態で現れます。
曲がりなりにもサタンのレベルは69。人間態であれ、ダンジョン配信者の本拠地にやってくることは異常事態です。スタッフたちが臨戦体制をとる中、かつての英雄であるサトルは快くサタンを社長室に招き入れました。
「野球大会を開きたい、か」
サトルは腕を組みました。サタンが提案したのは野球大会の開催。MUUU所属の配信者たちと自分達悪魔とで野球対決するというものでした。
「まあ、やる分には構わないが……」
サトルは白くなった髭を撫でます。
「なぜ、この企画を? 悪魔が人間に提案なんて珍しいではないか」
「私たちの尊厳を守るためです」
サタンははっきり言いました。
「ここ最近、ダンジョン配信によって人々はダンジョンを観光地だと勘違いしてしまっています。ダンジョンには私たちのように理性ある悪魔だけでなく、本能のまま人を襲う低級悪魔もいる。関係ない人たちが命を落とすことがないよう、今一度、悪魔の恐ろしさを知っていただきたいのです」
サトルは「ふ〜む」としばらく考えた後、
「あいわかった。場所と時間を教えてもらえるかい?」と快諾しました。
そして、日時を聞き取った彼はちょうどMUUUの談話スペースで漫画家連載チャレンジゲームをしていたいつもの五人組に言いました。
「君たち、明後日野球をやって来てくれ。これ社長命令」
「「「「え〜!?」」」」
神さまを除く四人は声を上げました。
「あとプレーヤーは六人必要らしいから、一人探しておいておくように」
「社長は出ないんですか?」ロナータが尋ねました。
「ワシは外せない用事があるんでな。頼んだぞ〜」
((((絶対、めんどくさがってる!))))
***
ロナータたちは最後の一人として異界警察の警官で、ロナータとジャスミンの幼馴染でもあるデネキスを呼びました。
「フフフ、悪魔ごとき、私の影の養分にしてやろう!」
デネキスは邪悪な笑みを浮かべながら木製バッドでスイングを始めました。
そんな彼の近くでロナータは配信を始めます。もちろん、この試合はダンジョンへの危険を啓発するために開催するものなので、配信は行われます。
「ルールは普通の野球を六人に縮小したものです。イニングは3イニングまで。グラウンドの広さは、各陣営の能力を考慮して、そのままの広さで使います。ここまでで、何か分からないところとかありますか?」
>どうして一チーム六人しか参加できないんですか?
>9回まで見たい!
>せっかくやるなら本格的な野球をしてほしい
ロナータは眉を顰めました。
「それは、この作品の作者が22人も書き分けられないからだよ。締切も迫っているんだ。無理させないでくれ」
執筆力の限界……。精進します……。
>ザコ乙ww
>あっちのチーム五人しかいないけど、いいんですか?
>ロナータ、今日もかわいいね
コメントを見てロナータも気づきました。
人間側のチームはデネキス含めて六人いますが、悪魔チームにはサタン、マダム、ズッコ、バズ=ジャック、アカツキの五人しかいません。ザンテツとサタンによるルール確認も終わり、まもなく試合が始まろうとしていますが、最後の一人が現れる気配はありません。
「ねえ、そっち一人足りないけど、いいの?」
ロナータの問いにサタンはフフッと笑いました。悪魔態なので笑うと鋭利な八重歯が見えます。
「よくぞ聞いてくれました。今回、我々には素晴らしい助っ人がいます。
それでは登場していただきましょう!」
サタンの掛け声と共に、球場のスピーカーからThe Greatest Showが流れ始めました。ヒュー・ジャックマンやキアラ・セトルが歌う、あのThe Greatest Showです。
WHOA、という掛け声と共に選手入場口からプシューッと煙が吹き出しました。入り口は真っ白に包まれたかと思うと、奥に人影が見えます。
現れたのは一人の人間。
「紹介しましょう。これが我がチームの
ショウヘイさんだ!」
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