第11章 クイズが出るダンジョンだけど、なにか?
第29話 クイズは得意か?
ロナハウス。
「クイズは得意か?」
来客用のソファに座るなり、ザンテツはこう切り出しました。唐突な問いかけにロナータは目をぱちくりさせました。
「ジャンルにもよるけど……」
そう言いながら彼は「ロナタピ」の余った在庫で作ったタピオカをザンテツに差し出しました。
「実は異界警察時代の知り合いから未登録のダンジョン調査を頼まれたんだ。
ザンテツはタピオカを一口飲んで「うまいな」と呟くと、ロナータと同席していた神さまの顔を見ました。
「そのダンジョンにはクイズが出るんだ」
「クイズ?」
ロナータは眉を顰めました。
「そうだ。信じられないかもしれないが、そのダンジョンではクイズが出題されて、それに答えられないと先に進めないんだ」
ロナータは腕を組んで考えました。
「それで、ボクたちに声をかけたの?」
ザンテツは頷きました。
「他に頭の良さそうな配信者がいないからな。カゲマルはそもそも喋れないし。探索期限も迫ってるんで、助けてほしんだ」
「いいけど、ダンジョンはどこにあるの?」
ザンテツはまっすぐな瞳をロナータと神さまに向けました。
「ホンゴウだ。俺たちは仮称ホンゴウ・ダンジョンと呼んでいる」
***
翌日、ロナータと神さま、そしてザンテツとジャスミンの四人は仮称ホンゴウ・ダンジョンにやってきました。仮称なんてつけずともホンゴウにダンジョンは一つしかないのですが、異界警察の
ダンジョンの中は他と同じく洞窟のような構造をしていました。四人はモンスターに襲われることなく進み、やがて広い空間に辿り着きました。周囲を岩壁に囲まれ、四隅に魔法の火が灯った、他のダンジョンでもよく見る光景です。
「ここからだ」
ザンテツが重々しく口を開くと、カバンからビデオカメラを取り出しました。
「事前に言ったとおり、記録も兼ねて配信を行う」
彼は慣れた手つきでカメラを回し、配信をスタートさせました。
「どうも、みなさんこんにちは。ダンジョン・マスター、ザンテツです。今日は特別に未登録ダンジョンの調査にきています。そして、一緒に調査するのは、こちらの二人」
「どうも〜、ゆるふわダンジョンチャンネルのジャスミンで〜す。初めてのダンジョン調査でとても緊張してますが、一生懸命頑張ります! よろしくお願いしま〜す」
「どうも、ロナータです。ボクもダンジョン調査初めてなので、精一杯頑張ります。よろしくお願いします」
>配信乙
>ジャスミンかわい〜
>ロナきゃわ
>この三人のコラボ、熱い!
>楽しみにしてました。ありがとうございます!
コメント欄は温かい空気に包まれました。
ザンテツがダンジョンの説明をしながら空間の奥へ進むと、
突如、目の前が真っ暗になりました。
「えっ、なに?」
ロナータは声を上げますが、あたりは一寸先も闇の状態で誰がいるのかわかりません。
「ザンテツ〜、ジャスミ〜ン」
一通り声を出してロナータは気づきました。
先ほどまでいた広い空間は声が反響していました。ですが、今は響いていない。それどころか耳栓をしながら喋っているかのような、声がくぐもって聞こえます。
つまり、視覚と聴覚を奪われたということです。
(どうしよう。奇襲なんてされたら……)
身震いして縮こまっていると、
『よく来たな、挑戦者たちよ』
頭の中で声が響きました。声にはエフェクトがかけられており、低く、ザラザラした声質をしていました。
『これから、君たちにはクイズに答えてもらう』
(なるほど。これはダンジョンの仕掛けの一部なのか)
声を聞いたことで、ロナータの心は落ち着きを取り戻しました。
『問題は一回でも正解したらクリアとなる。ただし、三回間違えると二週間は受けられなくなるので、注意するように。まあ、もう遅いがな。フッフッフッフッ』
(一回でも正解したらクリアか。随分余裕だな。それにしても一度失敗すると二週間は受けられないって、社会人の資格試験みたいだ)
呑気なことを思っていると、別の声が聞こえてきました。
『さあ、果たして皆さんはクリアすることができるのでしょうか!』
エフェクトがかかり、声は甲高く聞こえますが、幼さも感じられました。
(どこかで聞いたことがある声だ)
ロナータの脳裏に小さい女の子の姿がよぎります。
高い声は続けました。
『そして今回のクイズの形式ですが……
チキチキ 四分割クイズ〜!』
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