第16話 嘘つきよわばりされるのは我慢ならねぇよ
「だから……」
言葉に詰まった。他の人の炎上を見てる時、いつも思っていた。俺のファン層はいい人ばっかりだ、と。けれども、実際は嘘の情報に踊らされて手のひらを返して攻撃してくる。
「だから……」
何を言っても聞かない。何を見ても信じない。自分たちの都合のいい方に解釈する。彼らはまるで、言葉の通じない低級悪魔のようだ。
「だから……」
誹謗中傷に対しては様々な対処法があります。じっと我慢する、法的手段をとる、無視する、
そして————
「だから、触ってないって言ってるでしょ!」マイクが割れが起きるほど大きな声。
>うるさっ
>また癇癪でたww?
>4ね4ね4ね4ね
>うるせ〜ww
「俺はさぁ、元来ガサツなんだよ。言いたいこと上手く言えねえし、ダンジョン攻略だって物理こそパワーで解決してきた。
だからこそって、使い方あってんのか知んねえけど、やってこないことをやってないって言って、嘘つきよわばりされるのは我慢ならねぇよ」
ザンテツは自らを落ち着かせるべく大きく深呼吸しました。
「すでに当該女性とは事務所を通じて話を進めています。話し合いの進捗など、逐次とはいかないかもしれませんが、公表できるものがあり次第、迅速に公表させていただきます。また、私に対する誹謗中傷や、根拠のない情報の流布に対しては事務所と協力しながら厳正に対処する方針ですので、よろしくお願いします」
ザンテツは今日の配信で伝えようと思っていたことを伝え終えると、それからは流れてきたコメントに対して返信しました。
>これ言って実はやってました的な人けっこういるよね
「確かにそういう人はいるな。でも、俺はやってないんだから、やってないと主張するしかないだろ」
>それってあなたの感想ですよね?
「ああ、そうだ。俺の主観的な意見だ。じゃあ逆に聞くが、客観的な意見ってなんだ? あの場にあったのは配信カメラだけ。お前らは一体、何を見て客観的な意見とやらを作り上げてるのか、教えていただきたいものですな!」
>4ね4ね4ね4ね4ね
「お前、さっきからうるせぇんだよ。アニメのアイコンでキモイことしやがって。何も面白くねえんだよ」
彼のボルテージは最高潮に達しました。
もう誰も止められません。
ザンテツは配信画面を操作し、先ほど暴言を吐いていたユーザーをブロックしました。
「はい、ブロックしたぁ! 今後、俺に対する誹謗中傷はどんどんブロックしていくぞ! あまりにも悪質な場合は法的措置も取るからな、覚悟しとけよ。
かかってくるなら、かかってこいや!」
***
こうして、ザンテツのフォロワーは激減しました。
減りはしたものの、昔からのファンや発狂するザンテツを
「クソ喰らえ、低級悪魔!」
今日もザンテツはダンジョンの中でバトルアックスを振います。迫り来る低級悪魔の数は30を超えています。早く最下層に行きたい彼は感情の赴くまま叫んでいました。
>また発狂したw
>頑張ってください!
>これが終われば最下層ですよ〜
けれども、彼の顔はどこか晴れやかでした。
ロナータの登録者数:9783→10684
ザンテツの登録者数:521369→354930
——————
読んでいただき、ありがとうございます。
もし、よろしければ星やフォローをお願いします。
さらに、お褒めの言葉をいただけると泣いて喜びます。
引き続き、拙作をよろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます