第3話 私もやってみたい

副社長が見せてくれたタブレットの中で彼女の説明を聞いて私も1口馬主をやってみたいという気持ちがわいてきたんだ。

彼とお近づきになりたいという気持ちは微塵もないどころかむしろ盛大にある。

副社長に1口馬主っていくらかかるのか聞いてみたんだ。

「んー…まちまちというか…入会するクラブによって差がありすぎてな…年5万円~200万以上だな」

えっ?そんなに差があるの?

年間5万円ならちょっと節約すれば払えるけど200万円は無理ぃ~!!と思っていると彼は続けて言う。

「俺は大体6万円以内だな」

そして彼はまたタブレットを操作しはじめた。

顔が近くてめっちゃ照れる。

また、あの女性の声が再生される。

「はーい!音無 留花だよー!今日は1口馬主のクラブについて説明するね!」

「私が入ってる琵琶湖サラブレッドクラブは500口募集のクラブ、プランは色々あるけど1番高いのだと5500円の月会費プラス維持費1頭1口につき1200円で1頭1口のみの出資ならMAXで払うとしたら年間9万円ぐらいだねー」

副社長はそれに付け加えて俺は500口のクラブだからあれと同じぐらいの値段だぞと笑いながら言う。

「もっと安いのだとSMSウマヌーシーというクラブは2000口募集だし、1頭1口のみの出資なら月会費550円、実費になるけど維持費は実費の1/2000の支払い額だから琵琶湖サラブレッドクラブより基本的には安いね~。大体5万円あれば大丈夫かな~」

「40口募集の日曜レーシングなんてお馬さんの値段も高いし、維持費実費だし、いくらかかるか分かんないけど、お金持ちのクラブだね~」

副社長は俺は『東の都サラブレッドクラブ』に入ってると言った。

ただ、そんなことより気になるのは副社長が彼女のことが好きなのかどうかよ。

だってこんなに再生するんだから好きなんじゃない?って思っちゃう。

なんか立ち絵かわいいし!ムカついちゃうなぁ。

「黒田副社長ってこの人のこと好きなんですか?」と私が聞くと彼は盛大に吹き出した。

まともに見えるヤバイやつという意味では好きだけどなと言ってずっとゲラゲラと笑っている。

青井は面白いやつだなと少年のような屈託のない笑顔で私の頭を撫でる。

子供扱いでムカつくけど彼の笑顔を見ているとそんな気持ちもなくなっちゃう。

でも、そんなに彼が夢中になるなら私もやってみたいと強く思うようになっちゃった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る