第2話 副社長の秘密(後編)
副社長は「馬主は馬券を買えないんじゃないか?みたいな顔をしてるな」と私に言うとさらに続けてその秘密を教えてやるからまずは帰るぞと言われた。
なんで?と聞くと「普通に最終レース終わったからただの閉門時間だが」と言われてしまい、顔真っ赤になった私をみて彼は大笑いした。
「明日会社は休みだし、さっきの秘密が知りたいだろ?俺が泊まってるホテルに来いよ」と誘われたんだ。
これってもしかして誘われてる?誘われてるよね?
ここから副社長と私のラブロマンスが始まる~!?
言われるままにホテルの部屋に着いた私。
とりあえず椅子に座ろうと言われたのでちょっと緊張したままちょこんと座る。
そして彼は私の横に回り込み耳打ちをする。
「俺の秘密が知りたいだろ?」にはいとしか答えようがなかった。
そして副社長が取り出したのはスマホだった。
まずはこの動画を見てくれと言われたのでとあるVTuberの動画を再生する。
「はーい!音無 留花でーす!」
とてもうるさい挨拶から入る女性のイラストが右下にある動画が再生された。
「ウイポの画面は気にしないでね。今日は1口馬主(ひとくちうまぬし)の簡単な紹介をするね」
「1口馬主ってなーに?のコーナーだよ。簡単に言うと馬主と違って株やクラウドファンディングに近く馬主ごっこができるんだ。」
「会費とみんなでお馬さんのご飯代や人件費のお金を払って馬主気分を味わおう。馬主と違って馬券買える、馬主席に入れない、配当金が入ったり、その配当金で月会費が安くなったりするよ」
というのが彼女の説明だった。
つまり、副社長は1口馬主というもので馬券が買えたんだというのが副社長の秘密だった。
もしかして副社長がこのVTuberの中身?というわけはなく、普通に彼女がこの時間帯に配信してた。
たまたまコメントがあるらしく、1口馬主の説明をしてた。
副社長はそれをふんふんと聞いている。
彼女の口から驚く言葉があった。
「中央は芝と砂があるよね。実は地方にも一部だけど芝がある」と。
コメントでは地方に芝があるわけないと盛り上がっていたが彼女は「盛岡にありますぅー。水沢じゃないほうの盛岡に芝はありまーす!」と某細胞を思い出させるような煽りをしたらコメントで「あったわ・・・」と呟いてその騒ぎは収束したの。
彼はそれを見て少年のような顔で笑っている。
これが俺の秘密、馬券買えたのは1口馬主ってやつだ。と私に言った。
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