第2話

翌日、私は何とか気を紛らわせようと、駅近くのカフェへ行くことにした。


「ねえ、君、変なもの持ってるでしょ。」


振り向くと、そこには真っ白な髪をした少女が立っていた。私より幼く見えるのに、その瞳には妙な深みがあって、全てを見透かすような冷静さが漂っている。


「え……誰?」


私は驚いて後ずさった。

少女はかすかに微笑んだ。


「僕には分かるよ。その鏡は普通のものじゃない。違う?」


私は言葉を失い、思わず手に持っていたカバンを握りしめた。


「それ、危ないと思うよ。」


少女は私の目をじっと見つめながら続けた。

「君が何をしたか、鏡は全部知ってる。もし思い当たることがあるなら、早く手放すのが賢い選択だと思うよ。」


「何をしたって……どういうこと?」


私は問い返した。その声は、自分でもわかるほどに震えていた。

少女は答えず、ポケットから古びた布切れのようなものを取り出した。それは一枚の小さな護符で、何かわからないけど、読めない文字が記されている。


「これ、持っておきなよ。少しは役に立つかもしれないから。」


玲奈がその護符を受け取ると、少女は一言だけ告げた。


「鏡にのめり込みすぎちゃいけないよ。引きずり込まれちゃうかもしれないからね。」


そう言い残し、少女は手を振りながら人混みの中へ消えていった。

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