鏡像〜もう1人の私〜
夢咲リベラ
第1話
私がその鏡を見つけたのは、引っ越し直後に訪れたアンティークショップだった。
新居の装飾を探していた私の目に、鏡は強烈な存在感を放ちながら飛び込んできた。
真鍮のフレームには、細やかな彫刻が施されていて、まるで何かの物語を描いているよう。その表面に映る私自身が、普段よりも冷ややかで、不気味に感じられるのは気のせいなのかな。
「気をつけなさい。」
店主のおばあさんが突然声をかけてきた。
「どういう意味ですか?」
私は思わず聞き返した。
おばあさんは鏡を見つめながら、静かに言った。
「その鏡、いわくつきの品だって聞いてるからね。」
私は老婆の言葉を半信半疑のまま聞き流して、その鏡を購入して家に帰る事にした。
新居に鏡を飾った夜から、奇妙なことが起こり始めた。
鏡の中の自分が微妙に遅れて動く瞬間があるように感じたり、何もないはずの背景に微かな影がちらつくのを見たり。
それでも私は、疲れや気のせいだと自分を納得させようとした。
でも、ある日鏡を覗き込んでいた時、私は背筋が凍りついた。鏡の中で、自分の背後に誰かが立っている。振り向いてもそこには誰もいないのに、鏡の中では影がじっと動かずに立っているのだ。
あまりの恐怖に私は悲鳴を上げて鏡を覆い隠し、その場から離れた。
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