一話 吸血鬼-8
※
小さい頃のある日、ケンカをしていた時にふと手が出て弟を引っかいてしまった。
傷から出た赤い液体を見て驚いた。
弟は火がついたように泣き出した。
母親が何をしているの!と叫んで弟を引き離した。
自分も母親に急に押しのけられて驚いて泣き出した。
一方的に悪いのは自分だけれど母は弟が落ち着くと自分も撫でてくれた。
わからなかったんだよね。
もうしちゃだめだよ。
小さな声でそう言う。
たしかに自分はわからなかった。
自分たちの中にあんな赤い液体が流れているなんて。
目に焼きついて離れなかった。
自分は泣いたがそれは驚いたからで特に反省はしていなかった。
母親は弟だけを特別扱いするから自分が悲しくて泣いているのかと思っていたようだけれど。
特に悲しくもなかった。
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