1話「転生してまずやることはアレの大きさを確認することである」
「ここが……ナメ〇ク星。いや、違うか」
などと、一部の人間にしかわからないメタなボケをかましたところで、さっそく状況を確認する。
まずは天使との話し合いで手に入れた能力についての話をしよう。てことで、ステータスオープンヌッ!!
【名前】:拓内畑羅木
【年齢】:十五歳
【性別】:男
【職業】:無職
【ステータス】
レベル1
体力:300
魔力:500
筋力:15
耐久力:17
精神力:20
知力:60
走力:25
運命力:200
【スキル】:鑑定Lv1、成長率上昇Lv1、健康Lv1、アイテムボックスLv1、異世界言語Lv1
【称号】:転生者、〇×△◇の加護
まず、俺が望んだものとしては、いろいろな情報を知ることができる【鑑定】である。異世界という未知の場所で生きていくためには、その世界のことについて知らなければならない。そういった意味で、それらを知るための術である【鑑定】は欠かせない。これが最初に天使に要求したものだ。
続いて、人よりも成長速度が早くなる能力だ。もともと、オンラインゲームのやりこみを好んでやっていた俺は、単純作業をすることも苦ではないが、できればそういったことは手短に済ませたいと考えており、そのための【成長率上昇】だ。
次に、異世界ともなればやはり地球にはなかった未知のウイルスや病気、怪我などといったものがあると推察される。だから、それに対抗するべく常に健康な体でいられる能力を希望した。それが【健康】である。
そして、常に手ぶらで行動できるよう【アイテムボックス】という能力も希望した。これで大量の荷物を手に持たずに済む。
最後にやはり異世界ということで地球とは異なる種族とのコミュニケーションが重要となってくる。俺は自慢ではないが学生のとき英語で平均点の半分以下の点数……まあ、赤点ってやつを取ったことがある。ただでさえ自分の世界の言葉も落第した俺が、異世界の言葉を覚えられると思うか? 断言しよう、無理だ!
それから、称号については地球から転生した者という意味で【転生者】が、あの天使の加護ということで【〇×△◇の加護】が付いている。やはりというべきか、なぜか天使の名前が伏字になってしまっており、名前がおかしなことになっている。Oh My Angelよ、君の名は?
といった具合に、以上の能力をもらうことになったのだが、これを考えるのに二週間もかかったのかと言われると、実はそうではない。
まあ、そのことについてはおいおい話すとしてだ。おっと、一つだけ言い忘れていたことがあった。なにかといえば、俺の年齢についてである。
さすがに二十代後半の衰え始めた体では、厳しい異世界を生き抜けないということで、若返らせてもらっている。それに加えて、元の体はすでにゴミ山の藻屑と化しており、転生した状態であるため、地球にいた頃の姿ではない。
異世界に馴染むため天使と話し合った結果、転生先の世界でよくいる茶髪で青色の瞳をしたそこそこ顔立ちの整った少年の肉体を新たに構築することになったのだ。
「おー、なかなかのデカさだな。これなら、この世界の女共もさぞ満足することだろう。ふふふ、良きかな良きかな」
ステータスの確認が粗方終わると、次に俺はズボン中身をチェックする。なにかといえば、もちろんこの世界での息子の確認である。
やはり新たな肉体を得たからには、男たるもの一物のデカさを確認しなければなるまい。そして、その結果は……マンモスでした。
元の体は日本人平均程度の大きさはあったのだが、なんとこの世界では二十センチはあろうかというビッグサイズ……って、そんなことはどうでもいいか。
息子の使用感については、のちのち相手を見つけて試すことにするとしてだ。次に確認するべきは、やはり魔法だろう。
最初に選択をさせようとした職業一覧が、魔王・勇者・賢者ってある時点で、それは転生先が剣と魔法の世界だって言ってるようなもんですぜ旦那ぁ?
まあ、もちろんそうじゃない可能性もなきにしもあらずだが、その点は抜かりなく、天使に確認済みだ。当然、返ってきた答えは魔法が存在する世界である。
というわけで、レッツマジカル! 魔法の習得をやってみようじゃあーりませんか!!
「ええと、確かラノベとかではへその下にある丹田ってところに意識を集中させるんだったな。ふんっ……おっ、これか?」
地球にいた頃に好んで読んでいたファンタジーを題材にした漫画やライトノベルを参考に、さっそく魔法の習得を試みる。
ちなみに、天使からは魔法の才能はもらっていない。天使曰く、この世界の魔法は修行した分だけ習熟度や練度が上がっていき、使える魔法もその修行具合で増えていくとのことらしい。当然、才能の有無というものはあるにはあるが、それは新しい魔法を覚える時間が短かったり、練度が一定数に達するまでの期間が若干早かったりという誤差でしかないらしい。
あれだ。某国民的RPGであるドラゴンなクエストに搭載されていた職業システムで、最終的に誰でもすべての職業に就くことができ、その過程で覚えられる特技や魔法を全キャラクターが覚えられるノリと同じだ。違いがあるとすれば、熟練度の違いであり、熟練度と就職した職業が同じであれば、覚えている特技と魔法は一律同じである。
〈スキル【魔力感知】を獲得しました〉
〈スキル【無属性魔法】を獲得しました〉
そんなこんなで新たなスキルを獲得した。一つは、魔力を感知するスキルである【魔力感知】と無属性の【無属性魔法】だ。無属性の魔法については、純粋な魔力を使用して発動する魔法であり、そこには名前の通り属性は付与されていない。
「試すか。むむむむぅー【マジックボール】!」
試しに基本的な攻撃魔法で最も有名な【ファイヤーボール】を真似て【マジックボール】を唱えてみた。体から魔力が抜ける感覚と共に、手に集中させた魔力から無色の球が放出される。
「無職が無色の球を打つ。審議中……審議中(キョロキョロ)」
などと一人で遊んでいると、新たなスキルを獲得した。
〈スキル【詠唱破棄】を獲得しました〉
ん? 【詠唱破棄】ですと? なんぞそれ?
調べてみると、魔法を使用するには詠唱と呼ばれる方法で魔法を発動させるのが一般的であるらしく、魔法名のみで発動させられる人間は珍しいようだ。それを可能とするのが【詠唱破棄】らしい。
「ふむふむ、であれば次は属性魔法だな!」
そのまま調子に乗って魔法についていろいろと試行錯誤した結果、こうなりました。
〈スキル【火魔法】を獲得しました〉
〈スキル【水魔法】を獲得しました〉
〈スキル【風魔法】を獲得しました〉
〈スキル【土魔法】を獲得しました〉
〈スキル【光魔法】を獲得しました〉
〈スキル【闇魔法】を獲得しました〉
〈スキル【時空魔法】を獲得しました〉
〈称号【魔法の探究者】を獲得しました〉
うん、わかってるよ。やり過ぎたって言いたいんでしょ? だってしょうがないじゃないか人間だもの!!
地球には存在していなかった魔法というものが扱えるようになったら、ちょっとくらい羽目を外していろいろと実験したくなるよな? 二、三時間もその場で調べたりするよな!?
まあ、とりあえず思いついた属性を試していたら、こんな感じになってしまったということで報告しておく。ちなみに、新しい称号【魔法の探究者】は魔法発動に必要な消費魔力が少なくなるらしい。
といった感じで、初っ端からいろいろと飛ばし過ぎたような気もしなくはないが、何の前触れもなくそれはやってきた。
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