第3話 どんな呪いだよ
『私はこの壺から生まれた呪い。名を幸せの蟲毒』
「ほう」
『私の所有者になった君は、私の出すお題をクリアする必要がある』
「ほう」
あのアンティークショップで買った壺にはガチで呪いが掛かってたらしい。
にしても、壺からテロップが出るのシュールだな。
しかもテロップを持ってる手があるんだよなぁ。
中身があるのか?
「因みに、そのお題を俺が無視したらどうなるんだ」
『死ぬ』
「死ぬ?!」
おいおいおい!!
おいおいおいだわおいおいおい!!
あまりの衝撃で語彙力無いなったわ。
いや、まぁ呪いだから全然おかしくはないけど。
ワンチャン不思議な事が起こってくれたらと思って買ったけども。
死ぬって洒落にならんでしょこれ。
『大丈夫。私のお題は期限は無制限。それに詰みは無いようにしてるから』
「本当か?絶対無理ってお題は出さないんだな?」
『安心してほしい。君の人生を彩るスパイスだと思ってくれたまえよ』
死と隣り合わせのスパイスなんかあってたまるかよ。
食品衛生法でしょっ引かれてしまえ。
『私も出来る限りのアドバイスをする。頑張ってくれたまえよ』
まぁ、こうなった以上はやるしかないか。
不思議な事に、この状況にワクワクしてる自分もいるしな。
それに呪いの名前『幸せの蟲毒』なんだろ。
多分、呪いに掛けられた人が幸せになる為に物騒な方法を使ったんだろう。
だからきっと大丈夫。
多分おそらくメイビー大丈夫。
『では最初のお題。彼女を一人作るor15人に振られるだよ』
「どこが無理難題は押し付けないだこらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
あかん。
最初のお題にして最大の壁が立ちはだかってる。
「この年齢=彼女いない歴の俺にどうしろと?!お前本当は俺の事殺したいんだろ!!」
『失敬な。いいかい、君がしなきゃいけないのはアプローチだ』
「アプローチ?」
『そ。このお題は彼女を作らないと死ぬって訳じゃない。15回振られるだけでもOKなんだ』
「だからいろんな人に話しまくって振られ続けろってか?!」
な~にが幸せの蟲毒だてぇめこの野郎。
何が悲しくて15回も振られなきゃならんのだ。
あ、いやまぁ。
でも普通に考えて15振られてクリアの可能性の方が高いじゃん。
『いいかい。私はその昔、私生活が上手く行って無かった童貞の呪術師によって作られた呪いなんだ』
「急に語るじゃん」
『彼は晩年、自分の人生を嘆いていてね。この先の時代、自分と同じ惨めな生活を送る男が出来ないように私を作ったんだ』
「どうやって」
『自慢好きで幸せそうな男の幽霊をかたっぱしから集めて自慢大会を開かせたんだよ』
「はい??」
『その自慢大会を蟲毒に見立てて、私と言う呪いを完成させたって訳』
あ~も~滅茶苦茶だよ。
と言うか、自慢大会を蟲毒に見立てるって何?
どういうプロセスな訳??
『ま、私は幸せな男の人生へ向かうためのお題を出すサポーターなのさ。件の呪術師には感謝しないとね』
「あ、うん。そうだねー」
余計な事しやがってって気持ちも結構あるけどな。
『ま、お題の為のサポートするから任せてくれたまえよ。まずは君を大変身させてあげよう』
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