第2話 食堂で食べる、そして後に食べられる

 ヒキガエルが下界と言った場所に、降り立つと、

この世界が危機に瀕しているようには思えないほどの、

活気に溢れた街のようなところだった。


 丁度、この街の大きな通りの片側に立っている位置に出たようで、

その通りでは、俺たちが見ている目の前で、

左右へとたくさんの数の人と馬車のような物が行き来していた。


 『この目に入ってるだけの現状を見る限りでは、

自称女神は、俺に嘘を付いたんじゃないのかと思ってしまうな』

と思っていると、


それを察知したのか、ヒキガエルが、


 「ここを見ているだけだと、


この世界が滅亡に瀕しているなんて想像も付かないでしょうけど、

現実的にその兆候は、この世界の端々で現れているわ。


 明日にでも、その一部を見て貰うわ」と言った。


 「早速だけど、この街で今日泊まる宿屋へ向かうわよ」と言って、

行き方を熟知してるかのような雰囲気を醸し出しながら、

のっしのっしという音が聞こえそうな歩き方で、

目の前の通りの右へと曲がって進んでいくので、

俺もその後を突き従うようにして歩いて行くと、

しばらくして、ヒキガエルは「生贄亭」と、

3階建ての木造の建物の看板に書かれている宿屋の前で止まった。


 学習もしてないのに、この世界での文字が読める自分に驚いて、


 「習ってもいないのに、この世界の文字が読めるだと・・・」

と呟くと、


ヒキガエルは「それも、わたしが貴方に与えた恩恵の一つだね」と言う。


 『本当に、このヒキガエルが俺に与えた、恩恵という物の、

お陰かどうかは分からんが、最初から文字が読めるのは助かるな』と思った。


 ヒキガエルは意気揚々とした態度でその建物の扉を開けて中に入るので、

俺も続いて建物の中に入ると、その正面の奥に横に長い卓が置かれていて、

その卓の向こう側に受付らしき女の人が立っている所へと向かったヒキガエルは、


 「2人用の寝台の有る1部屋を、お願いします」と言ったのを聞いて、


俺は、


 「えっ ? 2部屋借りないの ? 」と、


ヒキガエルの発言に驚きながら聞くと、


 「大丈夫、1部屋で足りるからね」と、


1度狙った獲物は決して逃がさないかのような目で俺を見ながら、

舌舐めずりしそうな勢いの口元から、そう言葉を発した。


 俺はヒキガエルのその雰囲気に、

まさか、俺の貞操が危険に晒されるのではないのか、

という恐怖を感じつつ気持ちも押されながら、

もしかして俺の思い違いだったら良いなという気持ちから、


 「ヒキガエルと俺とが、一緒に1部屋に泊まるのか ? 」と、


聞き間違いであって欲しいと祈るようにして聞いた俺に、


ヒキガエルは、


 「そうよ、それにヒキガエルって誰の事よ ? 」と、


高らかな声で簡単に言い切ってくれた。


 それでも、俺は藁にも縋るような最後の望みを捨て切れずに、


『ま、まあ、お金を出すのは俺では無いのだから、強くは言えないけど、


ただ単にヒキガエルが、

お金の持ち合わせを余り持ってないだけなのかも知れん可能性が微レ存 ? 』

と思いつつ、


受付の女の人が、


 「では、303号室をお使いください」と言いつつ、


鍵のような物を差し出したのを意気揚々とした態度で受け取って、

上に上がる階段へと歩くヒキガエルの後に、

渋々した気持ちを心に持ちながらも続いて部屋に入ると、

小さな卓とそれを囲む椅子2脚の他に、箪笥のような物とが置かれていて、

かなり大きめに作られている様子では有るが、

寝具は1つだけ置いてあるだけだった。、


 「寝具が1つしか見当たらないんだけど、俺の寝る所はどうすんだ ? 」

と聞くと、


ヒキガエルは、


 「これだけ広い寝具だから、一緒に寝ても大丈夫よ」と、


あっけらかんとした言い方で答えるので、

それを聞いて体の全身に鳥肌が立つような感覚を味わいながら、


 「ええっ ! 一緒に寝るの ?! 」と、


無意識に恐怖に打ち震えているかのような声を出して聞くと、


 「なあに ? わたしと一緒に寝るのが嫌なの ? 」と、


とても不満そうな口調で聞くので、俺は正直な自分の心のままを言葉にして、


「ヒキガエルと一緒に寝るのは絶対に嫌だ ! 」と、


ずっと身に感じてる得体の知れない恐怖に打ち勝つようにして強く言い切ると、


 「そう、それが貴方の気持ちなのね。


 でも、そんな貴方に拒否権は無いわ。


 さあ早く、覚悟完了をするのです」


と言いながら、ヒキガエルの姿の巨体を生かして、

俺を寝台へと押し倒し俺が穿いているズボンに手を掛け、

そのまま下げていくと、穿いていたパンツまで脱がしてきて、


 「あら ? とても小さいのね」と、


俺の心を完璧に折る台詞を吐きながら、撓れた棒を口に含んできた。


 そして俺が生前ずっと守ってきた封印が解かれて何かを打ち出すと、

それをヒキガエルは飲み切った途端に、


最初に見た姿に戻るのを見て、


 『俺の白い物を飲んで、元の姿に戻っただと ?! ・・・ 』と、


結論が定かでない事を心の中で呟きながら、固まっていると、


 「これで、また法力を使えるようになったわ。


でも、まだまだ、わたしの法力の源が足りないので、


貴方には、まだまだ頑張ってもらうわよ ! 」と言うと、


俺の棒を自分の下半身に挿し込みつつ包み込むと、

往復の力やいろいろな体位をしつつ、理解ができない現象を目の当たりにして、

心の中が混乱したままの俺から、

次々と法力の源とされる俺の打ち出した物が回収していく。


 そして、俺の精魂が尽きたようで、ようやく打ち止めになったところで、


 「今日はこんなものでいいかなー。


 わたしの外見を保つために、貴方には明日もがんばって貰うわよ。


 わたしもがんばったお陰で、お腹空いちゃった~。


 今からご飯にするわよ ! 」と言う、


旧ヒキガエルの背後に有る窓からは、

そこに掛けられているカーテンのような役割の2つの布の間から、

朝日の光が差し込んでいる。


 もう朝になってしまっているようだ。


 『明日もがんばって貰うわよ、と言っているが、


もう夜が明けてしまってるから、今日もだろ ! 』と、


心の中で旧ヒキガエルに突っ込みを入れつつも、心身共にやつれて、

干からびてしまったように感じる自分の体に戸惑いながら、


 「おまえが男の白い物を体型を保つ法力の源としている事は、


ヒキガエルから元の姿に戻った処を見ていて良く分かったが、


最初に会った時にあの姿だったのは、

前にも白い物を搾り取られていた男が居たという事なのか ? 」と聞くと、


旧ヒキガエルは、


 「またヒキガエルって言った・・・、

まだわたしの元の容姿をそんな酷い例えで言うんですか !


 そんな酷い事が言えない位に、

今夜も容赦無く貴方の精を搾り取っちゃいますよ !?


いいんですか ?! 」と怒り出したので、


 「わ、わかった ! 俺が悪かった !


今度からは別の言い方に改めるよ ! 」と、


妻の尻に敷かれてる男のような台詞で謝ると、

それを聞いた旧ヒキガエルは、じと目で俺を見ながら、


 「別の言い方に改めるって言ったけど、どんな言い方に改めるんですか ? 」

と聞いてくるので、


俺は、


 「そうだなー、じゃあ仕方ないから、

おまえの呼び方は自称女神に戻しておくわ」と言うと、


 「自称とは何よ ! 酷いわ貴方 ! わたしは本物の女神なのよ !


これから、わたしの事は「女神のアマツ様」とお呼びなさい !


そして崇めなさい ! 」と、


とても女神とは思えないほどに、はしたなくも語気を荒げてながら言うので、

俺はそんな女神の言い分と態度に呆れてる事を隠さずに、 


 「はいはい、メガミノアマツサマと呼びます」と、


投げやりな言い方で答えると、


 「何故、片言な言い方をするんですか ?! 」と、


発狂したような雰囲気を纏いながら、俺の顔を睨みつけるようにして言うので、

俺が精神的な大人になって話を進めないと、このやり取りが終わらない事を悟って、


 「あのー、メガミノアマツサマ。


 俺の質問に答えて頂けますでしょうか ? 」と言うと、


旧ヒキガエルは、


 「貴方の質問って何だったの ?


それよりも何故、まだ片言でわたしの事を呼ぶのよ !? 」と、


ぷんぷんと怒りながら言うので、


 『この旧ヒキガエル、


呼ばれ方で散々怒っていたせいか、


俺の質問の内容をすっかり忘れてやがるし、


また怒ってるし・・・面倒なヒキガエルだな』と呆れつつ、そう思いながら、


 「俺の前にも男が居たのか ? 」と、


元彼の事を気にする現彼のような台詞を吐きながら聞くと、


 「女神のわたしに、前の男の事を聞くなんて、

貴方はとても野暮で駄目な人ですね。


 まあそれでも親切で大海のように心の広い女神のわたしは、

そんな繊細な内容の質問でも貴方に教えてあげますが、

わたしは、自分が誕生してからずっと男を切らした事は有りませんわ」と、


予想していた通り、今までに数え切れないくらいの複数の男を、

手篭めにしてきた経験者的な雰囲気を醸し出しながら、

超尻軽女的な発言をしてきやがった。 


 予想していたとはいえ、その発言を聞いた俺は、


 「その男達はどうなったんだ ? 」と、


改めて自称女神に聞くと、


 「みんな何故か途中で過労死をしてしまうので、


わたしの体型の維持のために男を切らす訳にはいかないため、


仕方無く、その度に新しい男を転生させてきましたわ」と、


神妙な顔付きで答えてくるので、


 「その過労死の原因って、まさか・・・」と、


予想している答えを知りながら言うと、


 「転生させた全員には、不老の恩恵を授けているのに、


どうして、みんな早く死んじゃうのでしょうね」と、


その原因を本当に分からないような様子で、そう言ってのけてきたのを聞いた俺は、


 「だめだこりゃ」と、呟いてみたが、


元ヒキガエルが過去にも複数の人を、この転生させている事を言った事に因り、

もう一つ、どうしても聞いて置きたい事ができたので、


俺は、


 「メガミノアマツサマ。


前から何人もの男を転生させてきた、と言っていましたよね ?


どのくらいの人がこの世界に転生してきているのですか ? 」と聞くと、


 「またわたしの事を片言で呼ぶのね !


 いいわ ! 毎夜、たっぷりと法力の源を搾り取ってあげるから覚悟しなさいよ !


 それと、質問の答えだけど、わたし以外に、


 異世界の人間を、この世界へ転生させる能力が有る者は今は居ないわ。


 だから、今現在、この世界へ転生している人間は貴方だけよー。


 どう ? わたしの偉大さがとても良く分かる答えでしょ ? 」と、


背中に寒気を感じるような、にんまりした顔をしながら言った。


 それを聞いた俺は、


 『このヒキガエルの話が本当なら、この世界は前に居た世界ほど転生人に因って、

余り荒されては無さそうだな。


前の世界では転生者が余りにも多過ぎて、その悪影響が大き過ぎて酷い状態になっていたからな。


この世界ではそうなってなくて安心したわ』と思った。


 そのやり取りの後、旧ヒキガエルは下着を身に着けだしたので、

元のあの酷い姿を見ているとはいえ、

最初に見た今の姿での着衣していく様子を見ているうちに、

とことんまで搾り取られたため、


枯れてしまったかのようになって疲れている体なのに、

男の性のせいか、頭の中が興奮して棒も元気になっている。 


 じっと着替えの様子を見ている、そんな俺に気付いた旧ヒキガエルは、

俺の顔をじっと見ているので、慌てて目を逸らして旧ヒキガエルに背中を向けて、


 「あ、悪い」と、ヒキガエルが、


この世の者とは思えないような、あの美しい姿に戻っただけで、

遠慮した言葉を吐いてしまう自分に嫌気を感じながらも、

こういう場面で発する決まりきった台詞を口にすると、


旧ヒキガエルは、


 「あらら、あれだけ搾り取った後なのに若いから元気ね。


わたしは気にしないから見たければ、


ずっと見ていてもいいのよ ? 」と言ってくるので、


「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて・・・」と言いながら、

男として綺麗な女の体には目が無い現金な俺はデレデレした気持ちで、

今度はワンピースのような形の服を着始めている女神の方へと向き直るが、

全てを着終わった旧ヒキガエルの見た目の姿が余りにも神々しいために、


やましい心が萎んでいってしまい、

代わりにうっとりとするような感覚に囚われながら、

芸術作品のようなその姿をしばらく眺めていた。


 「わたしの着替えする様子を十分に堪能したでしょうから、

早く一階の食堂で朝ご飯を食べに行くわよ」と言うので、


 「お、おう ! 」と、


いかにも女神らしい姿になった女の着替えを十二分に鑑賞できたため、

先ほどまであった全身の気だるい感覚が吹き飛んでしまった事もあって、

元気良く答える。


 一階の食堂には、中央に置かれた大きな卓を囲むようにして、

たくさんの椅子が並べられていて、その場所を取り巻くようにして、

小さな卓が食堂の四隅寄りにそれぞれ1つずつ有り、

それぞれに4脚の椅子と組み合わされて置かれていた。


 俺達は、隅に有る卓に組み合わされている椅子に座ると、

給仕服を着たかわいい女の給仕がやってきて、


 「いらっしやいませ。ご注文を承ります」と献立表のような物を2つ、

俺たちに手渡しながら言ったので、俺は、

その2つ折りにされている献立表を開いて、


そこに書かれているいろんな献立の名称を見ながら、


 「俺は朝ご飯献立の1番でお願いします」と言うと、


女神は、


 「わたしは厚切り肉焼き定食を3人前分でお願いします~」と言った。


『朝から肉料理を注文するのかよ ! しかも3人前も !


通常の1人前の3倍も食べるつもりなのか ?


この自称女神は・・・。


 だから、あんな体型になってしまうのも納得できる。


 この女神、いろんな意味で肉食系なんだな』と呆れつつ思っていると、


店の給仕の女も、


自称女神の注文内容に少し驚いたのか、


「は、はい、畏まりました。では少々お待ちください」と慌てて、


調理場が有るように見える場所へと向かっていった。

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 ここまで読んで頂いてありがとうございます。 

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