再異世界
@eiensatoru
第1話 自称女神との遭遇
「異世界へ」の新話が投稿出来無かったため、別のを作って上げた。
反省はしていない
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日本で寿命を迎えた後、異世界に若返った状態で転移して、
齢92歳と成った或る日の事、前に居た世界と同じく1人で住む自宅の布団の上で、
寝て目が覚めたと思った途端に意識が遠退いて行き、
これは、また死んだなと自覚していた自分の意識が、
それを再び感じられるようになり、それからしばらくして目を覚ますと、
今までに見たことも無い白い天井が目に入った。
『あれ ? 確かに俺は死んだはずなのに、
何故、こんな見知らぬ天井の有る所で寝ているのだろうか ? 』と、
今の現状について不思議に思いながらも体を起こすと、
俺の横に座っている人が居るように感じたので、そちらに目を向けると、
銀色の真っ直ぐな髪を肩よりも下までの長さまで伸ばしていて、
眉は整っていて目は大きく瞳は朱色で、口が小さく桃色の唇をしていて、
白いワンピースを着ているように見える、
かわいい女の子が椅子のようなものに座って居た。
その姿はまるで、或る赤毛の少年が活躍するゲームに出てくる
2人の女神の片側のような姿に見えて、
この世の者とは思えない外見と美しさを備えているようである。
俺が見ている事に気付いた、その女の子は突然、
「あら、やっと目覚めましたのね。
わたしは女神のアマツ。ご機嫌はいかがですか ? 」と、
全身から後光が差しているように、錯覚してしまうほどの眩しい笑顔を携えながら、
そう、しゃべりだした。
それを聞いた俺は、
『えっ ? 目の前に居る女は、自分の事を女神と言っちゃう子なの ?
この子はちょっと、いや、かなり痛い子のようだ。
まあとりあえず、どうして俺がここで寝ているのかを、
この痛い女の子に聞いてみるか』
と思い、
「どうして俺は、ここで寝ているのでしょうか ?
その理由を貴方は何か知ってますか ? 」と聞くと、
女神のアマツと名乗った女は、
小ぶりな腫れ物が2つ付いているように見える胸を張りながら、
「今この瞬間にも滅亡の危機に瀕している、この世界を救うために、
わたしの手足として酷使できる奴隷を手に入れようと、
あっ、言い方を間違えましたので言い直します。
わたしを手助けして頂ける方は、どこかに居ないかなと思い、
転生耐性を十分に持ってる能力者を探していた時に、
丁度都合良く、貴方を見つけたのだけど、
その時には、まだ死んでなかったので、
この世界に引っ張って来るために少し早目に死んで貰って、
たった今、この世界で生き返って貰ったところです」と、
余りにも、こちらからいろいろと質問をしたくなるような、
聞き捨てなら無い言い方と話の内容をほざいてきたので、
俺は、
「ふぁっ ?! 今、何と言った ? 」と、
ただ驚きを載せた声で叫びながら問うと、その女は、
「わたしの手伝いをして貰うために、
あなたの本来の寿命よりも少し早目に死んでもらって、
この世界に転生して貰ったという事です」と、
先ほどの話の内容を清ました顔をして答えたのを受けて、
俺は、
「な、なんだって ! 何て事をしてくれたんだよ !
それに、危機に瀕してる世界というのは、
今まで見てきた所では、どこでもそうだったぞ ! 」
と怒鳴ると、
「わたしは女神だから、それくらいの事をしても良いのです。
それに、この世界は特に絶滅まで数千年くらいの勢いで危機に瀕してるので、
貴方がこれまで巡られた世界とは比べられないほどの状態になってるのです」
と、言葉の前半はしれっとした態度で、
そして後半は打って変わって深刻そうな顔をしながら言った。
『数千年ってえらく先の長い話だな』と思いながら、話を聞いていると、
女神は続けて、
「その代わりとして、ほら、これで自分の姿を見てください」と言って、
何かを差し出してくるので、俺はその差し出された物を用心しながらも受け取ると、
その受け取った物は平たく、片面には自分の顔が映っていたので、
それは鏡のような物であると分かった。
そして、そこに映っている自分の姿を見た俺は、
「若く見える・・・、しかも顔がイケメンになってる。
何故だ ? しかも、全身裸だ、何故だ ? 」
と疑問を口にする。
その疑問が出た理由は、死ぬ前の年齢は92歳だったのに、
鏡に映っている自分の姿の見た目が、20代前後になっていたからである。
しかも服どころか、パンツも穿いてない状態だった。
その俺の疑問に答えるように、自称女神は
「わたしの好みでイケメンにして若返らせてみました。
そして裸なのは、わたしの趣味で、いえ、
生き返らせたばかりなため、まだ服を用意してなかったためですわ~」
と軽く聞き流せない台詞を含んだ事を言ってきたので、
俺は、
『この自称女神に対して、俺の身がいろんな意味で、
とてつもない危険に晒される感じがする ! 』
と思ったので、
「自称女神のアマツさんとやら、俺はもう死んだ身なので、
そのまま放っておいてくれんかね ? 」と言うと、
「手頃な適任者が見付からなくて困っていた処なので、
その時に丁度、転生し易い体に成っている貴方を偶然見つけたので、
草々には見付からない転生させ易い獲物は、絶対に逃す訳にはいかなかったのよ」と、
そう言った先で突然、
「くしゅん ! 」と、くしゃみをした女神と名乗ってる女の姿が、
着ていたワンピースから「ビリビリビリッ ! 」と
破れていくような音が聞こえてくると共に、
二本足で立つヒキガエルのように見える巨漢の姿へと変わった。
それとともに生の廃棄物のような臭いがしてきた。
この臭いは女神の体臭なのか ?
その姿を見た俺は、
「あっ」と声を発したまま体が固まってしまった。
女神という名称から思い浮かぶ、想像上の姿になぞられたような、
先ほどまで見た目からは遥かに遠ざかったヒキガエルへと変わった女が、
「いっけな~い、
油断すると法力を切らして元の体型に戻っちゃうのよね。
いーい ? 貴方は何も見なかった、いいね ?! 」
ヒキガエル女からは、俺の体に刺さるような鋭い視線を向けられたために、
俺は何も答えられないまま、ただコクコクと顔を上下に振る事しかできなかったが、
『デブ専で無い俺には、こんな姿の女の相手は絶対に無理だ。
逃げよう・・・。
それに女神と名乗ってるのに法力を使うとは、
女神って名称は西洋的な印象がするんだが、
本当は仏法に繋がったものだったのか ? 』と、
疑問に感じながら逃げる算段を考えていると、それを察知したかのように、
ヒキガエル女は
「ちなみに、わたしから逃げると、
その若さとイケメン顔から元の状態に戻るだけでなく、
そのまま死んじゃう事になるから、
決して、わたしから逃げようとは思ってはいけないわよ~。
本当なら、とっくに死んでるところを、
わたしの法力の及ぶ範囲内で生かしてるだけだから、
そこから離れたら死ぬのは当然よね。
もし仮に貴方が、わたしから逃げて死んだとしても、
わたしの力が隅々にまで及ぶ、この世界で、
必ず見つけ出して生き返らせてあげるから安心してね。
もちろん、其の後には厳しい追求を、
その身と心に深く刻まれるくらいにするから、
そんな事をした時には相当の覚悟をしていてね」と、
にっこりとした微笑を携えて、
釘を刺す様にして言ってきやがりました。
それを聞いた俺は再考を重ねる。
『法力とかいうものが効いている普段なら、
この世の最高傑作のような見た目の女神と、
俺は行動を共にするしか選択枝はないのかよ。
仕方が無いから、自称女神の気が抜けた時の姿と臭いは、
頭の中から消し去ろう』と、
いろいろと諦めながら思った。
ヒキガエル女は、
「早速、この世界の下界へ降りていくわよ。
でも、その前に破れた服を着替えないと恥ずかしいわね。
着替えてくるので、それまで少し待っててね」と言うと、
扉がどこにも見当たらない部屋なのに、奥へと消えていくようにして出て行った。
そんなヒキガエルの言動に俺は呆れながら、
『そんなヒキガエルの姿では、服を着ていようが着ていまいが、
恥ずかしさは大して変わらんだろ』
と思っていつついると、
ヒキガエルとの遭遇に因り無意識にしてた緊張が解けたのか、
急に、お手洗いに行きたくなったが、
目で見ている限りでは、どこにも扉が見当たらない部屋なので、
中を回るようにして壁を隈無く手で触りながら探ってみたが、
外に出られなさそうに感じたので、
「壁の四隅のところで用を足すか」と呟くようにして言いながら、
部屋の隅へと向かうと、新しく服を着ていた様子のヒキガエル女が、
慌てた様子で部屋の中へと戻ってきて、
「ちょっと待ったああああ ! 」と叫んで、
俺の至福の時間の1つである排尿を止めに入ってきた。
そして、「洗面所を用意するから、それまでお預け ! 」
とSぽい事を言ってきやがった。
『俺はMじゃないから、「ありがとうございます !」 なんて言わないぞ ! 』
と思いつつ、ヒキガエルの言葉に仕方なく思いながら従うと、
ヒキガエルは、「ピピル(以下略」と、
何かの魔女っ子の呪文と同じような決まり文句を口ずさみ出し、
最後に「おまるよ現れよ ! 」と唱え終えると、白鳥の姿を模したような形の物が、
ヒキガエルの前の足元に現れた。
そして、
「トイレは、そこで済ましてね」と言った。
俺は、
「おいヒキガエル、囲いは出せないのか ? 」と言うと、
「誰がヒキガエルよ ! 囲いを出さないのはわたしの趣味のためよ ! 」と、
とても恐ろしい事を語気を強めて言い切ってきた。
「こんなので用を足すのは嫌だ !
どうしてもと言うのなら、その間おまえは後ろ向いてろよ ! 」
と怒りながら言うと、
ヒキガエルは、「まあ仕方ないわね」と言いつつ、後ろ向きになってくれたが、
「ぐふふふ」という恐怖に駆られるような不安な気持ちになる笑い方をしている。
俺は何かを諦めた心境で、ヒキガエルが出したおまるで用を足すと、
その間もヒキガエルから「ぐふふ」とか「うひょー」「じゅる」とかの声が聞こえてくる。
身の危険に打ち震えながら用を足し終わると、
ヒキガエルは口に何かの透明な液を垂らしながら、
こちらに向き直り、
「用を足し終わったようだし、下界へ行きましょうか ! 」
と、元気良く言ったので、
俺がぽつりと「口から涎が出ているぞ・・・」と言うと、
「あ、いっけなーい、興奮し過ぎてしまってー」と、
こちらが聞きたくも無い事を言いながら、腕で涎を拭き出した。
ヒキガエルは手に何かが入ってそうなかばんを手に持ち、
「さあ、気を取り直して出かけるわよ」と言うと、
『気を取り直す必要が有るのは、おまえだけだろ』と思いながら、
「お、おう」とだけ答える。
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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
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