Episode.2...Coffee days.

 お爺さんは中学生に入るころに亡くなった。あたしは一人ぼっちになりとある行きつけCaféに入った。

 季節はあの時ジャックがいなくなった冷たい冬。

 早雪がさんざめくスピードでアートを描いていた。

 クリスマスモードに突入し、サンドウィッチマンが該当でパンフレットを配っていた。イルミネーションは街を照らしていた。まるで、銀のスプーンが、自分は高級品だと言わんばかりに。

 「いらっしゃいませ」マスターはいった。「注文は?」

 「マスターのお任せで」

 「かしこまりました。季節だとマカダミアナッツの乗せたロールケーキと、ホットストロベリーミルクになりますけれども」

 「じゃあそれで」

 「はい」そう言って、見ないでさっさと作り始める。

 すると、ドアから冷気が入ってくる。マスターはいらっしゃいませと言う。入ってきたのは由貴さんだった。

 「注文は?」

 「コーヒーで。あれ、ユキちゃん、大きくなったね」

 そう、もう大人になったばっかり。

 「中学生になりました」ユキは言った。「あの、すみませんけれども。由貴さん。今はどうしていますか」

 「あの時と一緒だよ。こんなに激しくないけれども、外みたいにまるで直ぐに舞い散って溶けてしまう存在だよ。ただあの頃と違うのは、学生から社会人になったと言うだけ。毎日忙しいんだ。寒さは僕を忙しくさせる」

 「そうじゃなくて……彼女いますか?」

 「いないよ」由貴は薄手のダウンの上から青いのコートを羽織っていた。「今も僕の隣の指定席には誰もいない」

 「あたしが隣に座ってもいいですか?」ユキは言った。

 「そうしてくれると助かるな」そう言ってクスっと笑った。「あの人形はどうしたんだい?」

 「貴方との恋の相談をした後、写真の中に逃げていきました」ユキは言った。

 「そう……」由貴は言った。「僕で良いなら、別にいいよ。代金は頂かないから、こちらが払うよ」

 そう言って二人はいろんな話をした。海外に行きたいだの、いやそれは危険すぎるだの、映画は面白くってさ、気取ったジェントルマンが靴を間違えるんだよ、と言って笑っていると、時間はあっという間に過ぎた。

 マスターに代金を支払うと、出ていった。

 何度も温めた恋と、新しく近しい人が出来た瞬間だった。

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