星の願い石

@manten-happiness

アランの幸福

古くから、この王国には不思議な伝説があった。願いを一つだけ叶えることができる「星の願い石」が、どこかに隠されているという。その石は、満天の星が最も輝きを増す夜に、その力を発揮すると伝えられていた。


貧しい村に住む少年、アランは、病に倒れた妹、エマのため、その石を探す旅に出た。エマは、日に日に弱り果てていき、村の医者にも手立てがなかった。アランは、藁をもすがる思いで、伝説の石にすがるしかなかった。


旅は長く、険しかった。道中、アランは、同じ願いを叶えようとする人々と出会った。病気の子供を救いたい母親、貧困から抜け出したい商人、そして、永遠の命を手に入れたい魔術師。それぞれが、切実な願いを抱え、石を求めていた。


彼らは、互いに協力することもあれば、時には争うこともあった。しかし、共通の目標、それは願いを叶えること、という一点で繋がっていた。


やがて、アランたちは、伝説の石が隠されているという、深い森にたどり着いた。森は、暗く、静まりかえっていた。道案内をしてくれるものは何もなく、彼らは、ただ、直感を頼りに進んでいくしかなかった。


そして、ついに、彼らは、石を発見した。それは、小さな川の中に、静かに光を放っていた。石に触れた瞬間、アランの体中に、温かいものが広がった。


しかし、そのとき、他の者たちが、石を奪おうと、一斉に襲いかかってきた。激しい争いの末、アランは、なんとか石を手に入れることができた。


満天の星が輝く夜、アランは、エマのベッドサイドに腰掛け、石を握り締めた。そして、心の中で、願いを込めた。


「エマを、どうか助けてください」


その瞬間、部屋中に、温かい光が満ち溢れた。エマの顔色が、みるみるうちに回復していくのがわかった。


アランは、幸福感に包まれた。彼は、願いが叶った喜びとともに、深い感動を感じた。それは、ただ自分の願いが叶ったというだけではなく、多くの人々が、同じように切実な願いを抱えているということを知ったからだった。


それから、アランは、石を村に戻し、村人たちと分かち合うことにした。石は、村人たちの手によって、一人ひとりの心に光をもたらし、村は、かつてないほどの活気を取り戻した。


アランは、その後も、石を守り続け、人々の願いを叶えるために、旅を続けた。彼は、石が持つ力だけでなく、人々の心の温かさを知った。そして、彼は、いつまでも、人々のために、願いを叶え続けることを決意した。

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