第4話 大賢者復活?

 俺はその夜、近くの公園で小型のファイアーボールを発生させていた。

 とにかく本当に魔法が使えるのかどうか、試してみたかった。


「……できる、な」


 10回やってみて、10回とも成功した。

 小さな小枝を燃やすくらいは楽勝だ。

 大きな火事になるかもしれないので、試してはいないが、もう少し高度な魔法……ファイアーストームやファイアーフィールドも使えそうだ。


 他属性、氷も雷も使えそうだ。

 まさか、魔法が完全にない世界に来て、魔法が使えるとは思わなかった。


 習慣というものは恐ろしいものだ。

 この地球では誰も魔法を使っていないから、俺だけ魔法を使えるなんて思いもしなかった。

 いや、あるいは今まで使えていなかったが、生意気極まりない女神に会った怒りで使えるようになったのかもしれないが。


 これは大チャンスでもあり、大ピンチでもある。

 チャンスというのは言うまでもなく、(多分)俺だけが魔法を使えるということだ。

 これが認められれば、それこそ2万人なんてものではない人間が俺に関心を持つことになる。


 一方、それは逆に俺を危機に陥れることになるかもしれない。

 誰も魔法を使えないのに俺だけが使えるのは何故なのか。

 国や世界が恐れて大変なことになるかもしれない。


 ただ、うまいこと配信で使えば、女神以上の登録者を集めることもできるだろう。

 もっとも、これを本当の魔法と信じてもらえるかどうか、というのは疑問だが。


 いや、待てよ。

 ここは逆にいきなり本気にされない方が良いのかもしれない。


「本当か嘘か分からないけれど、魔法使うチャンネルやっています」くらいからスタートする方が良いのかもしれない。

 警察とかに問い詰められれば「嫌だな~、本当に魔法を使える者がいるはずないじゃないですか。ちょっとしたトリックですよ」と誤魔化し、ただ、動画ではリアルに魔法を使ってみる。

 ある程度登録者数が増えたら、おおっぴらにして一気に増やす。


 よし、それで行こう。


 ……でも。

 チャンネルってどうやって作ればいいんだ?

 いや、普通に携帯で撮ることもできるのかもしれないが、やったことないからな。

 いきなりチャンネル作っても誰にも知られることがなさそうだし、女神の作っているチャンネルみたいなクオリティの高いものは作れそうもないからな。

 ちゃちい技術だと、誰にも見てもらえないかもしれない。俺だって見ないだろうし。


 うーん。

 とりあえず、明日、女神に聞いてみるか。


 明日、きちんと魔法が使えれば、の話だが……

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