プロローグ2・大主神はお怒りです
どれくらいの時間が経っただろうか?
「あれ?」
気づいたら、儂の意識は光り輝く世界の中を漂っていた。
身体などは全く見えない。ただ、漂っているだけである。
ここで儂は気づく。
そうか、儂は死んでしまって、死後の世界に送りこまれたのだ、と。
周囲を見ると、イサムとセイコ、キシ・タツナにダイマオーも漂っているではないか。うっすらと半透明なまま、浮かんでいるだけだ。
そして、おぉぉぉ?
薄っぺらい白布に身を包んだグラマーな美女もいる!?
そうだ、一度だけ会ったことがあるぞ、彼女こそ我々の世界の女神だ。
相変わらずすごいボディをしているな。儂がもう20年くらい若ければ……、と思わずにはいられないボディだ。
死んでしまった今、20年もクソもないが。
『勇者パーティー一行、及びダイマオー、及び女神よ』
急に上の方から声がした。
顔をあげると、まばゆいばかりに光り輝く何かが見える。
「ははーっ!」
ダイマオーと女神がひれ伏したぞ?
こんな漂っている中で、ひれ伏すのは簡単ではない。
それだけとてつもない従属の意識が、この2人……ファンタジアの正と悪の頂点にいた者にあるということだ。
ということは、相当に偉いのか、こいつ?
はっきり分からないが、女神とダイマオーにつられて、我々もとりあえず頭を下げる。ちゃんと下げられているかは分からないが。
空から厳かな声が聞こえてくる。
『勇者イサムと魔王ダイマオーよ。お前達はそれぞれの立場から世界を守るべき存在であるはずなのに、憎しみ合って世界まで滅ぼすとは、言語道断横断歩道である!』
……オウダンホドウって何だ?
『罰として、貴様達2人は当面はミジンコに転生して、反省しろ!』
勇者と魔王がミジンコに転生!?
まあ、世界を滅ぼしてしまったのだ、それくらいの罰を受けても仕方ないだろう。
しかし、それを宣言するこいつは何者なのだ?
気づいたらイサムとダイマオーはいない。
空の厳かな声の宣告とともにどこかに消えたようだ……。
「大主神様~、セイコちゃんは世界のために頑張ったですぅ!」
「大主神様、ワタクシ、キシ・タツナも世界のために頑張ったのです!」
なるほど、大主神か。
一般的な世界にはそれぞれ神がついていて、その上に大主神と呼ばれる一番偉い神がいるという伝説を聞いたことがあるが、本当にいたのだな。
そして聖女と竜騎士は大主神に媚びを売っているが。
『馬鹿者! お前達2人も調子に乗って世界を破壊していたではないか! この大主神の目を欺けると思うのか?』
「「ひぇ~っ!」」
『おまえ達2人は、世界を滅ぼした主犯ではないが、共犯者のようなものだ! ゆえにアリンコに転生して反省するがよい!』
「「嫌~っ!」」
セイコとキシ・タツナはアリンコに転生することになったようだ。
いや、ちょっと待て。
そうなると、儂はどうなってしまうのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます