第21話
電車に乗って街まで戻って、壮真と優希は優希の家の近くまで戻って来た。
「話があるんだ」
2人は公園の中に入って行った。
「話って何?」
優希は胸がドキドキしている。
「芸能界に入ろうと思ってる。随分悩んだけど、母さんが勧めてくれて決めた」
「そうなんだ…… 」
壮真は優希を抱きしめた。
「だから…… 」
「うん、分かった」
優希はしっかりと壮真の背中を抱いた。
「宮田君の夢だもん。私、応援するよ」
「ありがとう」
優希が好きだと壮真の心が叫んでいた。
でも好きと言ったら最後、もう止まらなくなるだろう。
だから……
「宮田君、お願いがあるの」
優希が真っ直ぐに壮真を見た。
暗いのでよく顔は分からない。
「最後にもう一度……キスして」
壮真は優希の唇に自分の唇を押し当てた。
言葉に出来ない壮真の想いが流れ出す。
お互いの想いを受け取るようにそのキスは長かった。
そしてキスが終わると、優希は駆け出した。
カラコロという下駄の音がやけに哀しく響いて行く。
壮真の瞳に涙が浮かんでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます