第21話

電車に乗って街まで戻って、壮真と優希は優希の家の近くまで戻って来た。

「話があるんだ」

2人は公園の中に入って行った。

「話って何?」

優希は胸がドキドキしている。

「芸能界に入ろうと思ってる。随分悩んだけど、母さんが勧めてくれて決めた」

「そうなんだ…… 」

壮真は優希を抱きしめた。

「だから…… 」

「うん、分かった」

優希はしっかりと壮真の背中を抱いた。

「宮田君の夢だもん。私、応援するよ」

「ありがとう」

優希が好きだと壮真の心が叫んでいた。

でも好きと言ったら最後、もう止まらなくなるだろう。

だから……

「宮田君、お願いがあるの」

優希が真っ直ぐに壮真を見た。

暗いのでよく顔は分からない。

「最後にもう一度……キスして」

壮真は優希の唇に自分の唇を押し当てた。

言葉に出来ない壮真の想いが流れ出す。

お互いの想いを受け取るようにそのキスは長かった。

そしてキスが終わると、優希は駆け出した。

カラコロという下駄の音がやけに哀しく響いて行く。

壮真の瞳に涙が浮かんでいた。

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