第9話

「にんじんとじゃがいもと玉ねぎ」

壮真はスーパーで母親の言う物をカゴに入れて行った。

「他にはない?」

日曜日は必ず母親と買い物をする。

1週間分の食料だ。

「鶏肉と豚肉もね」

今度は母親が壮真の腕に掴まって精肉コーナーに移動する。

そして壮真が肉をカゴの中に入れた。

「ねえねえ、宮田君がいるよ!」

そこへクラスの女子2人がいたのである。壮真は気付いていない。

「あれって宮田君よね……お母さん?白い杖持ってるって事は目が見えないって事?」

「嘘ー!ショック!」


そして翌日には学年中にその事が広まったのである。


それからラブレターの数もピタリと止まった。

屋上に呼び出される事もなくなった。

壮真は一人息子である。

だから母の面倒を見なければならない。

その事を知った女の子達は、みんな離れて行った。

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