第29話

日曜日は心、愛未、桃李、結香の4人で図書館で教科書を開いて、公衆衛生学の勉強をしていた。

全員、バイトは平日に入れている。

土曜日は学校は休みだが、一日中バイトで

ある。

愛未はケーキ屋でバイトしている。

今は専ら雑用だ。

既に進みたい道は決まっている。

心と愛未はパティシエ。桃李と結香は西洋料理である。

聾科の者も成績優秀な者は専門コースに行く事が出来るが、一切手話はない。だが実社会に出ればそれが当たり前である。

心は製菓コースに進もうと考えていた。


"打ち明けたら如何?心が好きなんでしょう?"

"でも彼女いるって言ってたし"

愛未と結香が手話で会話していた。

"彼女って大分でしょう?気にする事ないんじゃない?愛未の方がずっと近い距離にいるよ"

男達は席を外していた。

"グズグズしてたらバイト先の先輩に取られちゃうよ。心の為に手話覚えたり、部屋へ呼んだりしてるんだから"

"そうだよね…… "


今日は日本料理の実習だ。桃李は大きな魚も楽々捌くが、愛未は苦手である。躊躇っていたら桃李が後ろから手を乗せて捌くのを手伝った。

"ありがとう"

"いや。コツ分かったか?"

"うん"

桃李はドキドキしながら愛未を見ていた。

心はそんな桃李の気持ちを見抜いていた。

一方、結香は桃李が好きである。

キッカケは山登りだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る