第30話

心と笑里を繋ぐもの……

それはメールだけだった。

心は朝起きるとすぐに笑里にメールを送った。

逢いたい……

そう思いながら実習室に行くと、其処には愛未がいた。

"おはよう"

"おはよう。今日は何処?"

"シュークリームが潰れて、上手く膨らまなくて"

"俺も其処おさらいに来た"

"じゃあ、一緒にやろう"

"ああ、いいよ"


"材料は全て常温にして置く事。ノートにはそう書いてあるけど…… "

愛未はそう言って不安気に心を見た。

"バターや牛乳を沸騰させる時に材料を全て常温にして置く事が大事。冷えているものがあれば沸騰の時間が変わって水分が飛び過ぎてしまうんだと……俺のノートには書いている"

心と愛未はお互いに協力しながらシュー生地を作った。

"シュー生地を絞るのは温かいうちに"

"オーブンは焼き色がしっかり付くまで開けない事"

以上の点に気を付けながら作った所、

上手く膨らんだ。

"膨らんだ!やったー!"

愛未は跳び上がって喜んだ。

心も満面の笑顔になっていた。

カスタードクリームも作っていざ試食。

"美味しい!"

"上手い!"

心と愛未はお互いの顔を見た。

どちらの顔も光り輝いていた。

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