第28話

愛未は毎朝、必ず前日のおさらいをする。今日はハンバーグの焼き加減をおさらいしていた。

心は天ぷらが上手く出来なかったので氷水で粉を溶いていた。

"そんなにかき混ぜなくていいよ"

見ていた愛未が手話で言った。

"軽くでいいって先生言ってた"

"ありがとう。やり直すよ"

愛未の言うように粉を軽く溶いてそれを海老に絡めて揚げた。

心は愛未の作ったハンバーグを試食し、愛未は心の天ぷらを試食した。

"うん、美味しい!"

愛未のハンバーグはふっくらとしてとてもジューシーだった。

"おかしな点はない?"

愛未は真剣そのものである。

"大丈夫。焼き加減もバッチリ。俺の天ぷらは如何?"

"ふんわりと軽い感じで口の中で溶けていくわ"

心はノートに記載したポイントを再チェックした。

"ありがとう。愛未"

"こちらこそありがとう。心"

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