第3話

早速、実習のため、4人組になるように言われて、森田心、宮代桃李、石田結香、加護愛未の4人でチームになった。

まずは料理の基本の基本を学ぶ。

初回は基礎の基礎。ご飯の炊き方。

味噌汁の作り方。だし巻き卵の焼き方である。

講師は日本料理の料理人で、実際にボールをかき混ぜながら説明するので、手話通訳が側で手話で説明をする。生徒達は先生の手技と手話と両方を見なければならなかった。

読話から説明を理解しようとする者もいるが、普通に話しているため読めない者もいた。


十六夜調理師製菓専門学校には寮がある。聾科には全国から集まって来るので女子寮、男子寮とある。普通科の人もいた。

心は部屋に戻ると直ぐに今日の実習を振り返った。

部屋は2人である。

ルームメイトは普通科の1年生だ。

平松颯である。

出身は青森だ。

「あ、今日の実習振り返ってるのか」

颯が普通に話しかけて来る。

心はメモに書いた。

"今日のうちにやっておかないと忘れそうで"

「あーそうか。お前、耳が聞こえないんだったな。あれ?どうやって分かったんだ?」

"唇が読めるんだ。ゆっくり話してくれたら分かるから。悪いけどゆっくり話して欲しいんだ"

「そ、う、か。り、ょう、か、い」

颯が言った言葉を見て、心は笑い出した。

"そこまでしなくていいよ。お前、いい奴だな"

心はそうメモに書いた。

「じゃあ、了解。俺も復習するから一緒にやろう」

"分かった"

こうして心は颯と一緒に実習のポイントをおさらいしたのである。

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