■ 追憶の旅の終わり

「さぁ、これで追憶の旅は終わりだよ」


終わり?


「たっく、あの子はあんなにダメって言ったのに突っ走るんだから」


これはハッピーエンドなのだろうか?


「この後、君が記憶を思い出しちゃってあの子が消えちゃったこと?」


そうだ。こんなに頑張ったのに結局消えてしまうなんてあんまりじゃないか。


「うーん、少なくともあの子は納得してたんじゃないかな」


本当にそうなのか。


「そこを議論する気はないよ。私がそう思っているだけだから。あと、分かってるよね?」


分かってる?何が?


「はぁ、決まってるでしょ。本だよ、本。このままじゃ永遠に地面の中なんて嫌だからね」


……そうだな。確かにそうだ。その手があったか。


「何に納得しているか分からないけど、さっさとしてよね。そのために私はこの追憶の旅に付き合ったんだから」


ああ、そうだな。これからもよろしく。


「分かったらいいの!……って、よろしく?何が?ってなんで笑ってるの?」


それじゃあ、また後で。


「帰っちゃった……また後でって何?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る