異世界恋愛クリニック~恋の種族で、カチンコチン魔法?~

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 恋愛相談にやってきた女性も、種族によっては大変です。彼女の唱えた魔法、いつになったら解けるんだろうね~?

異世界恋愛クリニックへ、ようこそ!

相談に乗ってくれるカウンセラーは、男性だ。

 「あのう…」

 今日は、とがった耳をちょこんと髪から出してゆらす女性が相談に訪れた。

 「…恋がこんなに怖いものだなんて、知りませんでした」

 相談にきてくれた女性は、おびえ続けている。

 「心配しないでください」

「先生…」

「だれだって、恋は怖いもの。はっきりと気持ちを伝えられないことに、悩んでいるのでしょう?」

 「そうなんです」

 男の、思った通り。

 「先生?私…、自信がもてないんです!」

 「心配しないで!その不安、あなただけではありません」

 「本当ですか?」

 「ええ」

 「私、恋の告白でだれかをあたためたいと思っているのに…」

 「それは良い!」

 「でも、先生?私…。相手をあたためてあげるまで、時間がかかりすぎちゃうんですよ?」

 「?」

 「先生?私、うっかり者で…」

 「あ、そうだ」

 男が、女性の横に並んで座った。

 「相手に向かう位置によって、与える印象が変わってくることがあります」

 「そうなんですか?」

 「だれかの横に座ると、あなたの見方になりたい人、みたいな印象を与えることができますね」

 「へえ…」

 「ドキドキ、するでしょう?」

 「じゃあ…。だれかの正面に座ると、どう思われるんですか?」

 「そのときは、意見の対立する人のような印象を与えることができるようです」

 「へえ」

 「とはいえ、いやな敵という意味ではなく」

 「…?」

 「ディスカッションなどの知的な相手というイメージになるようです」

 「先生?私にも、だれかの横に座るとドキドキする効果が出ますか?」

 「どうでしょう」

 「私も、先生の横に座っていてドキドキしてきちゃいました!」

 「おお!」

 「私、勇気が出てきました!彼に、告白しにいこうと思います!」

 「え?」

 女性が、帰っていく。

 「ちょ、ちょっと!」

 「先生!私、勇気を出してみます!えいっ!」

 女性が、氷結魔法を唱えた!

 カチンコチンになる、恋愛カウンセラーの男。

 「あ、つい…。先生、ごめんなさい!」

 凍結先生。

「でも、先生?心配しないで♪私の寿命が尽きるころには、この魔法は解けますから!」

 その女性は、エルフ族。

 今の言葉、重すぎです。

 かわいそうにね~。

 だって、エルフの平均寿命は…。

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