第28話 犯人はこの中にいる
買い物を
一郎と幽子はロクの
ちょっとした畑が作れそうな広さの庭で、二人と一匹はフリスビーを
幽霊とはいえ、やはり犬と遊ぶならコレだろう。
一郎たちは
時刻が来るまでゆっくりと
そして午後十一時――一郎が
「それじゃ、そろそろ行きましょうか」
幽子は先頭に立って
そして現場、クローゼットルームの前に立つとその場で
「
「……いや、うん……そうだろうねとしか」
――ワゥゥ……
「何よ、一郎くんもロクもノリ悪いわね。これから真犯人を言い当てる
「そうは言うけどさ、この中にいると言われても、ここにいるのって、俺、きみ、そしてロクとこの家にいる何かしかいないわけだし……なあ?」
一郎がロクにそう尋ねると、ロクは即座にワンと返した。
「まあ、そうなんだけどさあ……」
「この
「そうだけどぉ! そうだけどさぁ! 乗ってくれてもいいじゃない! 推理小説の
「ちなみに一位は?」
「ここは
「ああ、うん、なるほど…………」
確かにちょっと言ってみたい。
一郎はほんの少しだけそう思った。
「それじゃ開けるわね」
幽子がドアノブに手をかけた。
ドアが開いた部屋の中は、
「部屋の中に入る前に一言、一郎くんは今私が立っている場所、ここから先は事が終わるまで入らないで。絶対に自分の
「ああ、わかったよ」
よろしい――と幽子は
「ところでなんだけど、一郎くんはオカルト
「
「じゃあゲームは? RPGとか」
「そっちは
「了解。それならそこまで
開けたドアに
「ファンタジー小説にしてもゲームにしても、月って魔法に深く
「あるよ。
「うん、そうね。
この設定は今も多くのクリエイターたちに使われている。
「私たちの業界では、月の力を使った術は
月の力を利用したこれらの術は、
「そんな私たち的に大人気のお月さん。そんな彼女の光には、さっき
月の光は、例えるならハイオクガソリンのようなもの。
幽子は月についてそう
「次に鏡。鏡も昔から魔術的な
では、
「それは鏡が世界を映すからに他ならないわ。鏡は私たちの世界と、もう一つの世界を
鏡を使う術は
鏡の世界のもう一人の相手を通して、攻撃したり守ったりするものだとか。
「さて一郎くん、ここで問題です。今私がした月の話と鏡の話、二つに
「共通していたもの? えーと……
「うん、正解。東洋魔術系に多い幻術、鏡を使う技に多い幻術。月+鏡=強力な幻術。
足し算が凶器――
「おそらくだけど、
「都合のいい条件ってなんだ?」
「犯行現場が自分の家の目の前だということ。
「?」
「クローゼットルームという
幽子が部屋の中を
部屋の中には
「いやー、すっかり
幽子が部屋の中に
センサーが
部屋の四か所に
天窓から伸びる光と交差し、立体的な
これは、まるで――
「月と間接照明による月光の
ビシッ――と、幽子は犯人に指を突きつけた。
鏡の中に映る自分自身に。
ニヤリ――と、鏡の中の幽子が笑った。
一郎の知る彼女とは全く違う、邪悪さに
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