第24話 大人の時間
「あ、食べる前に……はい、ロクにもあげて」
「おっと、そうだな。ロク、ご飯だぞー」
一郎は
普通の犬であれば人間と同じものを食べるのは健康に悪いが、
二人が
二人は顔を見合わせ
ご飯と
こんな味なら毎日食べても
「どう?
「ああ、メチャクチャ美味いよ。本当に料理が上手かったんだな」
「何よ?
「?」
「ほっぺた、ご飯
幽子は一郎の
「…………っ!」
「え、何? あ…………」
幽子は自分が今何をしたのかようやく気がついたようだ。
一郎と幽子はお互い顔を
「え、えーと……つい家族にやる時のクセで」
「あ、ああ、うん。そうだよな。家族にならやるよな!」
「
何なのだ、今日の幽子は?
いつもと違い、しおらしくて
そんな
「べ、別に……」
一郎はそれだけ言うのがやっとだった。
ここに来る前に何となくだが感じていた
「こ、この後どうする?」
「ど、どうしよっか?」
「もう7時
「だ、だったら! その……
「え?」
「
「ゆ、
「……言わせないでよ、バカ」
言葉にするまでもない、
二人はここに
夕飯を終え、片付けも終えると、二人は
なんとなくテレビをつけ、たまたまやっていたバラエティ番組を見る。
それが終わったら上の階へ。
プレイルームにあったビリヤード台でナインボールを楽しみ、それが終わったらゲーム
そうやって時間を過ごすうちに夜の10時を回った。
夜が
二階の寝室でスマホをチェックしているうちに11時を回る。
「そ、そろそろ寝ようか?」
「そ、そうね! もうすぐ12時だし!」
「…………」
「…………」
「……お、俺、先に
「……! う、うん……どうぞ……」
一郎は
脱衣所に
最新式の洗濯機だったため
ゴウンゴウンと回る自身の服を、 10秒ほど見つめた後に風呂場に入る。
海側に向けて作られた風呂場は
朝方に入れば太陽にきらめいた美しい海が見れることだろう。
だが、一郎にはそんなことを考える
これから始まるであろうことに、
――いいのか、俺? いいのか?
――
――幽子とそういう
――俺は、うん……別にいい……いや、『
――一部にアレな面はあるけど幽子は良い子だ。
――
――俺のことを
――おそらく俺の今後の人生の中で、彼女以上の相手が現れる可能性は
――何より、
――本格的に知り合ってまだ二週間
――これから先、何ヶ月、何年と付き合っていくうちに、きっともっと好きになる。
――そうなるっていう
――そんな相手と今のような関係のまま、
――好きだと言ってくれた相手に、自分の気持ちを伝えないまま、事に
――いいワケねえだろ!
「……言おう。この後」
自分自身の気持ちを。
ちゃんとけじめをつけないと彼女に
風呂から出た一郎は、心と
「お、おかえり……じゃあ、私も行ってくる、ね?」
「う、うん……あの、幽子!」
「な、何……?」
「あ、その……お湯
「あ、うん……ありがとう……」
幽子が寝室を出て行く。
一郎はそれを見送った後、ベッドに
「情けない……俺カッコ
いざ告白しようとしたら、ビビって何も言えなかった。
「はぁ……今までが今までだし、
彼女は、そんな色々あってちょっと
「言わなきゃダメだ。言うべきだ」
きみのことが好きだ――と。
「よし、
そう
空気を読む、本当に賢い幽霊犬だ。
「……幽子、
そういえば、女子の風呂は長いと聞いたことがある。
ベッドに倒れた時、ちょっと
せっかくだし直してこよう。
一郎は寝室から出ると、
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