第23話 幽霊屋敷
その
海岸
みかん
このあたりで
すぐ近くには林があり、それより先には海がある。
夏の
……
…………
………………
「ここ、出るの?」
「らしいわよ? いやー、今からどんなバカ……おっと、どんな
「わざわざ言い直した意味ある?」
意味はない。
幽子が
「お父様から
――ワンッ。
車から降りると、幽子はその場で大きく
ポケットから鍵を取り出し、自分の
魚の入ったクーラーボックスを
「幽霊屋敷とか言われている
「そりゃ管理会社としては売る気だからでしょうね。まあ、そうまでしても売れなかったみたいだけど」
「そんな
「解決できるアテがあるからじゃない? 私っていうね♪」
幽子が
二人と一匹は屋敷に上がるとキッチンを
「一郎くん、ブレーカー上げてくれる? それが終わったらロクと
「了解。でも俺
「ロクがいるでしょ? 前にも言ったけど、犬の
――ワンッ。
「ってわけなんで早く行く。私はここで夕飯の準備を進めておくから」
料理が
「それじゃロク、行くか?」
――ワンッ。
一郎はキッチンを出ると、ロクと一緒にまず1階部分を見回ることにした。
1階にあるのはキッチンと、そこに
大きめの
ガランとしているが、かなりの量をしまえるほど大きな
最新のマッサージチェアが置いてあるリラクゼーションルームと、その
一郎はロクを
電気が
なので、 1階は問題ないと
2階にある部屋の数は4。
それらも1階部分と
やることはやったので、一郎とロクは1階に降りて幽子に
「確認終わったぞ。特に何もなかったんだけど」
「え? ホントに?」
「ああ、ありがちな
「そうなのロク? 本当に?」
――ワンッ。
――ハッハッハッハッ。
「うーん、本当に何もなかったみたいね。実は私もこの家に入った時から特に何も感じていないのよね」
「そうなのか?」
「うん。でも私って
幽子がしょぼくれた顔になった。
めちゃめちゃ残念そうだ。
――ワゥゥン……
そんな幽子を見てロクがすまなさそうな
「あなたが気にすることじゃないのよ、ロク。もしかしたら本当にいないのかもしれないんだし」
「地元で
「ええ、その噂が本当だなんて
この屋敷は
もともと見た目に
「持ち主が
「それも噂が先行して、誰かが勝手に作った話かもね。近くをたまたま通りかかった人が何かを
「じゃあ、単にうちの親父が得しただけって話か」
「何も感じない以上、そういうことなんじゃない? あーあ、がっかり。せっかく新しいおもちゃが手に入ると思ったのになー」
ぶつぶつとつぶやきながら、幽子が
テーブルにはすでに
ほかほかのご飯と
「はい、できたわよ。温かいうちにいただきましょ」
「そうだな。じゃあいただこうか」
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